ヘラクレスオオカブトのヒーターの選び方|パネルヒーターの使い方・ワット数・温室の作り方
ヘラクレスオオカブトの飼育用品

ヘラクレスオオカブトのヒーターの選び方|パネルヒーターの使い方・ワット数・温室の作り方

冬が近づいて「ヘラクレスオオカブトのヒーターはどれを買えばいいのだろう」「ワット数はどれくらい必要なのだろう」と調べ始めると、商品も作り方の情報も多くて迷ってしまいますよね。爬虫類用と書かれたヒーターを虫に使っていいのかも、気になるところではないでしょうか。

実は、ヒーターはワット数の大小よりも「どこを温める器具なのか」で選ぶと失敗が減ります。ケースの下に敷くシート型は底を温める器具で、部屋の気温を上げるものではないからです。メーカーの説明書を読み比べると、やってはいけない置き方もはっきり書かれていました。

この記事では、各メーカーの説明書をもとに、器具の種類と選び方、ワット数の考え方、パネルヒーターの使い方、サーモスタットの要否、温室の作り方までをまとめました。この記事を読めば、自分の部屋とケースに合う保温の形が決まるでしょう。

この記事のまとめ
  • ヘラクレスオオカブトのヒーターは、ケース1〜2個なら昆虫も対象に書かれたシート型をケースの下に敷く
  • 敷くのはケースの底の1/3〜1/2まで。ワット数ではなく敷く面積で大きさを決める
  • パネルヒーターを発泡スチロール箱の中で使わない。数が増えたらエアコンかメタルラックの温室へ

ヘラクレスオオカブトにヒーターは必要?エアコンとの使い分け

最初に、そもそもヒーターを買う必要があるのかを確かめておきましょう。答えは部屋の最低温度で変わります。

部屋の温度を保てるならヒーターはいらない

エアコンで夜まで目安の温度を保てている部屋なら、ヒーターを足す必要はありません。ヘラクレスオオカブトは冬眠しない虫なので冬も保温は欠かせませんが、大事なのは器具の有無ではなく、ケースのそばが何℃かです。

ヒーターが必要になるのは夜に冷える部屋

出番が来るのは、夜に暖房を切る部屋や、寝室と別の部屋にケースを置いている場合です。18℃を下回ると弱り始め、15℃を下回ると危険な寒さなので、まず一晩、最高・最低温度計をケースのそばに置いて、明け方に何℃まで下がるのかを見てください。ここを測らないままヒーターを選ぶと、足りないのか温めすぎなのかがわかりません。

保温の目標はステージごとに決める

ヒーターで目指す温度は、ステージによって少しずつ違います。温度ごとの理由は飼育温度と温度管理の方法の記事で解説しているので、ここでは目安だけ並べておきます。

ステージ目安の温度ヒーターでの注意
成虫22〜25℃夜の冷え込みを防ぐ
幼虫20〜23℃25℃を超えると小型化しやすい
蛹・前蛹20〜22℃蛹室の真下に当てない
産卵セット23〜25℃夜も温度を揺らさない

ヘラクレスオオカブトのヒーターの種類と選び方

保温の器具は、温める場所で4つの種類に分かれます。どれが適しているかは、ケースの数と温めたい範囲で決まります。消費電力は、この記事で紹介する代表的な製品の値です。

種類温める場所消費電力向いている使い方
シート型ケースの底4〜20W相当ケース1〜2個
リボン型容器の底や周り10W・21W細長い範囲を温める
上部ヒーターケース内の空気13〜57W網ぶたのケース
温室用ヒーター温室全体の空気150〜250Wケースが多いとき

シート型はケースの底を温める

いちばん手軽なのが、ケースの下に敷く薄いシート型です。代表的なピタリ適温プラスは、表面温度が48℃±5℃(4号のみ45℃±5℃)で、周りの温度に応じて自分で通電量を調節します。電源を入れるだけで使えるので、初めての方におすすめするならこの種類です。

ただし、メーカーのよくある質問にもあるとおり、この種類はケース全体の空気を温める器具ではありません。「ヒーターを敷いたから部屋が寒くても大丈夫」とは考えず、ケースの底が冷えるのを防ぐ道具だと捉えておきましょう。

リボン型は容器に巻いて使える

ナラベルトのようなリボン型は、敷いた上に容器を載せるほか、容器の外から巻いても使えます。公式サイトの紹介文には昆虫の飼育容器を載せる使い方が書かれており、表面温度は約36〜39℃とシート型より低めです。容器の中には入れられず、防水でもありません。

上部ヒーターはケース内の空気を温める

暖突は、網ぶたに取り付けて上から温める遠赤外線ヒーターです。ケージ全体の空気を暖かく保てるのが特長ですが、ヒーターの表面はかなりの高温になります。同じ系統のセット温のメーカー測定では、14Wの機種で通電60分後の表面が95.3℃、環境温度23.1℃のときにヒーター直下10cmが27.4℃でした。コバエ防止型のように網ぶたがないケースには付けられず、爬虫類を中心にした製品なので、虫のケースに使うなら条件をよく確かめてください。

温室用ヒーターは空間全体を温める

棚ごと温めたいときは、園芸用の温室ヒーターが候補に入ります。消費電力は150〜250Wと、シート型とは桁が違います。昆虫用として売られている商品ではありませんが、虫の温室の熱源として使う例があり、作り方は後ほど紹介します。

爬虫類用でも昆虫に使えるかを確かめる

ヒーターの多くは爬虫類用として売られているので、対象の生き物を説明書で確かめておきましょう。たとえばピタリ適温プラスとスーパー1シリーズは対象に昆虫が書かれていますが、レプタイルヒートの説明書は屋内の爬虫類・両生類用で、記載以外の用途に使わないよう求めています。性能の優劣ではなく、説明書の範囲で使えるかどうかの話です。私個人的な意見ですが、電気を24時間使う道具なので、ここは最初に確認しておきたいところです。

はると

商品名に「爬虫類」とあるだけで判断せず、説明書の対象まで見ておくと安心ですよ。

パネルヒーターのワット数とサイズの考え方

「何ワットあれば何℃上がるのか」が知りたいところですが、これは部屋の冷え込みやケースの材質で変わるので、一律の答えはありません。ワット数ではなく、次の順番で考えてみてください。

ワット数が大きいほどよいとは限らない

シート型は、ワット数が大きい製品ほど面積も広いと考えるとわかりやすいです。ピタリ適温プラスは1号の4W相当から4号の20W相当まであり、どれも表面温度はほぼ同じなので、ワット数が増えると温まる面が広がります。必要以上に大きいものを選ぶと、ケースの底を覆いすぎることになります。

敷く面積からヒーターの号数を決める

ケースの中に涼しい場所を残すため、ジェックスの案内では底面積の1/3〜1/2を敷く目安としています。もともと爬虫類ケージの基準ですが、逃げ場を残す考え方は同じなので、私はこの面積からサイズを選ぶのがよいと思います。飼育ケースの大きさに当てはめると次のようになります。

ケースの底(内寸)敷く面積の目安サイズの例
幅30×奥行20cm200〜300㎠1号(18×15cm・270㎠)
幅40×奥行25cm約333〜500㎠2号(22×22cm・484㎠)
幅60×奥行40cm800〜1,200㎠3号(42×22cm・924㎠)
幅70×奥行45cm1,050〜1,575㎠4号(55×25cm・1,375㎠)

メーカーの表記では1号がミニ〜小ケース用、2号が小〜中ケース用、3号が中〜大ケース用、4号が中〜特大ケース用です。ヘラクレスのオスに使う幅30cm×奥行20cmのケースは、面積で見ると1号が収まります。

電気代は消費電力から計算できる

電気代は「消費電力×時間」で見積もれます。15Wのヒーターを24時間つけたままにすると1日0.36kWhなので、これに契約している電気料金の単価をかけてください。シート型は周りの温度で通電量が変わる製品もあるので、これは上限に近い見積もりです。

昆虫用パネルヒーターの使い方|ケースの下に敷く手順

買ったあとの敷き方で、安全性も温まり方も変わります。説明書の内容をもとに、やってはいけないことから整理しておきましょう。

ヒーターでやってはいけない5つのこと

やってはいけないことは、発泡スチロール箱の中で使う、ケースの中に入れる、ケースの底全面に敷く、ヒーターやケース全体を毛布などで包む、ヒーターにケースの重さをかける、の5つです。どれもレップジャパンのよくある質問やレプタイルヒートの取扱説明書で確認できる内容で、理由には火災や感電、生き物が死ぬおそれが挙げられています。

ヒーターでやってはいけない5つのこと(発泡スチロール箱の中で使う、ケースの中に入れる、ケースの底全面に敷く、ヒーターやケース全体を毛布などで包む、ヒーターにケースの重さをかける)

とくに見落としやすいのが重さです。脚のないケースは、説明書の例では木材などで隙間をあけて、ヒーターに荷重がかからないようにしています。ケースの中で虫が動いても傾かないよう、水平に安定させてください。

シート型ヒーターを敷く4つの手順

手順は難しくありません。敷く場所の砂やほこりを拭き取り、ケースの底の1/3〜1/2に敷きます。脚のないケースは木材などで隙間をあけて載せ、コンセントに差し込みます。温度が安定するまで1時間ほどかかることがあるので、少し待ってからケースのそばの温度計で確かめましょう。

シート型ヒーターを敷く4つの手順(敷く場所の砂やほこりを拭き取る、ケースの底の1/3〜1/2に敷き、脚のないケースは木材などで隙間をあけて載せる、差し込んで1時間ほど待つ、ケースのそばの温度計で確かめる)

ケースの底が熱すぎるときは、隙間を広げて調整します。材質によっては温まった部分が変色・変形することもあるので、使い始めの数日は底の様子も見ておくと安心です。

はると

ヒーターを入れたばかりの頃は、朝晩に温度計を見て熱くなりすぎていないか確かめると安心ですよ。

幼虫と蛹のケースは温め方に注意する

幼虫のケースはマットが深いので、説明書にもあるとおり、床材が厚いと熱が表面まで伝わらないことがあります。つまり、底は温かくても上のほうは冷えている、ということが起こり得ます。温度はケースの外側だけでなく、マットの様子も見ながら判断してください。

反対に、温めすぎにも注意が必要です。幼虫は25℃を超えると小さな成虫が羽化しやすくなるので、「暖かいほど安心」とは考えないようにしましょう。下から温めるとマットが乾きやすくなることもあります。乾き具合の見方は湿度管理の記事を、幼虫の管理全体は幼虫の育て方を参考にしてみてください。

前蛹と蛹は、熱くても動いて逃げることができません。蛹室の真下にヒーターを当てないようにし、できれば底のヒーターよりも、部屋や温室の温度で20〜22℃を保ってください。

サーモスタットは必要?ヒーターの種類で変わる

サーモスタットは必ず要ると思われがちですが、組み合わせるヒーターによって考え方が変わります。

シート型は温度計で見守るのが基本

ピタリ適温プラスにサーモスタットをつなげるかについて、メーカーの回答は「可能ですが、推奨しません」です。故障しても保証の対象にならず、つないでも任意の温度設定は保証できないとされています。自己温度制御のある製品なので、基本は単体で使い、温度計で見守るのがよいでしょう。

サーモスタットは上がりすぎを止める道具

サーモスタットは、設定温度になるとヒーターの電源を切る機器です。イージーグローサーモの説明にもあるように、温度を下げる働きはありません。また、この製品の取扱説明書は対象を爬虫類・小鳥・小動物の飼育ケージとしており、制御できる範囲は18〜40℃です。買う前に、対象と温度の範囲が自分の使い方に合うかを見ておきましょう。

センサーはマットに埋めず熱源から離す

サーモスタットを使うときは、センサーの位置で結果が変わります。同じ説明書では、センサーを床材に埋めない、ヒーターに触れないように置く、ヒーターと同じケージにセットする、ひとつのサーモで複数のケージを管理しない、と定められています。実際の温度は、サーモスタットの表示だけに頼らず別の温度計でも確かめてください。

ヘラクレスオオカブトの温室の作り方|メタルラック編

ケースが増えてシート型では追いつかず、エアコンも使えない場合は、棚ごと温める温室を考えることになります。

発泡スチロール箱にパネルヒーターは入れない

簡易温室といえば発泡スチロール箱を思い浮かべる方も多いかもしれません。ただ、ピタリ適温プラスはメーカーが発泡スチロール箱の中での使用を禁止しています。理由は、密閉性が高く結露で濡れるおそれがあることと、火災のおそれが高いことです。レプタイルヒートの説明書でも、発泡スチロールの上に置くことと、発泡スチロールなどで覆うことが禁じられています。

発泡スチロール箱は断熱に優れていますが、電気の熱源を組み合わせるなら、その器具の説明書が箱の中での使用を認めているかが条件になります。認められていない器具は入れないでください。電気を使わず、停電のときにケースを一時的に入れておく避難用として持っておくのはよいと思います。

はると

箱の温室は作り方の情報が多いので意外かもしれませんが、メーカーが止めている使い方は避けておきたいところです。

メタルラック温室に使う材料

容量のある例として、月夜野きのこ園のメタルラック温室が参考になります。材料は、高さ150cmのメタルラック、住宅用の断熱材、養生プラダン、ビニールカバー、プレートヒーター、サーモスタット、小型のファン、室内外用の温度計です。断熱材は発泡素材の板なので、ヒーターなどの熱源に触れない配置にしてください。作例のヒーターは250Wで、宮崎県の冬に合わせた構成と書かれているので、寒い地域ではもっと断熱を厚くする工夫が必要でしょう。

棚板に隙間のあるメタルラックを使うのは、最下段のヒーターの熱を上へ通すためです。ヒーターには、昭和精機工業の園芸温室用パネルヒーターのように、サーモスタット付きのセットもあります。

メタルラック温室を組み立てる5つの手順

組み立ては5つの手順で進めます。ラックの上下と背面に断熱材を付け、左右にプラダンを付けて前面にビニールを垂らします。次にヒーターを最下段に置き、サーモスタットとファンをつなぎ、ケースを入れない状態で温度を試してください。

メタルラック温室を組み立てる5つの手順(ラックの上下と背面に断熱材を付ける、左右にプラダンを付けて前面にビニールを垂らす、ヒーターを最下段に置く、サーモスタットとファンをつなぐ、ケースを入れずに温度を試す)

前面のビニールは、切り込みを入れてのれんのようにすると、中の様子が見えて出し入れもしやすくなります。ヒーターの周りは、説明書で設置面と周囲の距離の条件を読み、断熱材やビニール、ケースが本体に触れない配置にしてください。ここは必ず自分が使う器具の説明書に合わせましょう。

ケースを入れる前に上下の温度差を測る

温めた空気は上に集まるので、温室の中は上の段ほど暖かくなりがちです。ファンで空気を回すとムラは減りますが、ゼロにはなりません。温度計を上段と下段に置いて一晩試し、目安に収まることを確かめてからケースを入れてください。段ごとに温度が違うなら、ステージごとに置く段を分けると管理しやすいかと思います。

温室の中も加湿しすぎると結露につながります。電気を使う空間なので、水がコードやヒーターにかからないようにしておきましょう。置き場所の考え方やケース内の組み方は飼育セットの記事も参考にしてみてください。温度管理にかかる手間も含めて全体像を知りたい方は、飼育は難しい?の記事もどうぞ。

ヘラクレスオオカブトの保温でよくある質問

エアコンなしでヒーターだけで冬を越せる?

部屋の冷え込み次第です。シート型はケースの空気全体を温めるものではないので、夜の最低温度を測り、底を温めるだけで目安に届くかを確かめてください。届かないなら、エアコンを夜も使うか、温室を検討しましょう。

ヒーターは24時間つけたままでいい?

ピタリ適温プラスは、メーカーが24時間通電しても大丈夫と回答しています。ただし定期的に、ヒーターの変色やフィルムのはがれ、水滴がかかっていないかを確認してください。安全のため3年程度での交換も勧められています。

幼虫も冬眠しないので保温は必要?

ヘラクレスは幼虫も冬眠しないので、保温が必要です。目安は20〜23℃で、20℃を下回る状態が続くとマットを食べる量が落ち、成長が鈍ります。

幼虫の容器そのものを選ぶときは、幼虫ケースの選び方も読んでみてください。

まとめ

ヘラクレスオオカブトのヒーターは、まず部屋の最低温度を測り、足りないときにケース1〜2個なら昆虫も対象のシート型を、底の1/3〜1/2に敷くのが基本です。発泡スチロール箱の中では使わず、数が増えたらエアコンかメタルラックの温室へ切り替えましょう。

温度計を見る習慣さえつけば、ヒーターの管理はそれほど怖いものではありません。この記事が寒い季節の準備に少しでも役に立ったのなら、私も大変うれしいです!お疲れさまでした^^

当サイトではそれぞれの飼育フェーズに合った情報を紹介しています。是非以下の記事もご覧になってみてください。

飼育用品の記事一覧

ヘラクレス飼育のまとめ

おすすめ記事