ヘラクレスオオカブトの持ち方|掴む位置・挟まれない触り方とメス・幼虫・蛹の扱い方
ヘラクレスオオカブトの成虫飼育

ヘラクレスオオカブトの持ち方|掴む位置・挟まれない触り方とメス・幼虫・蛹の扱い方

ヘラクレスオオカブトを迎えたばかりのとき、まず迷うのが「どこを持てばいいのか」ではないでしょうか。角をつかむと挟まれそうで怖いですし、脚の爪が刺さって離れてくれないこともあります。子どもに触らせても大丈夫か、心配な方もいらっしゃるかと思います。

実は、ヘラクレスの持ち方は「胸の固い部分の側面をつまむ」と覚えておけば、ほとんど迷うことはありません。なぜなら、ヘラクレスは上の長い角が胸から生えた「胸角」で、体と一体になっていて動かないからです。反対に、国産カブトムシの持ち方をそのまま当てはめると、かえって角と角のすき間に指を入れてしまうことがあります。

この記事では、オスの基本の持ち方と角のつくり、しがみつかれたときの外し方、メス・幼虫・蛹の扱い方、やってはいけない持ち方、子どもに触らせるときの注意までをまとめました。この記事を読めば、ヘラクレスにも自分にも負担の少ない触り方が身につくでしょう。

この記事のまとめ
  • オスは胸角の付け根あたり(前胸)の左右の側面を親指と人差し指で上からつまむ。角のないメスも同じく胸の側面を持つ
  • 頭角と胸角のすき間に指を入れると挟まれて痛い。しがみついた脚は引っぱらず、足場に近づけて自分から移るのを待つ
  • 幼虫はスプーンかマットごとすくい、前蛹・蛹・羽化直後は触らない

ヘラクレスオオカブトの持ち方の基本|オスは胸角の付け根をつまむ

ヘラクレスオオカブトを掴む場所は、オスなら胸角の付け根あたり、つまり胸の固い部分です。固くて動かないので、持つのにいちばん向いています。

オスは胸の側面を親指と人差し指でつまむ

ヘラクレスのオスを真上から見ると、頭のうしろに、背中の上翅(うわばね)より一段盛り上がった固い部分があります。これが前胸で、そこから前へまっすぐ伸びているのが上の長い角、胸角です。持つのはこの前胸の左右の側面で、肩のあたりを親指と人差し指で上から挟むようにつまみます。

力加減は、落とさない程度にそっとで十分です。よこやま動物病院のブログでは、胸角の付け根近くにある突起を上からつまむ持ち方が紹介されています。

私が初めてオスを持ったときは、角の迫力に気おされて指先がおっかなびっくりでした。それでも胸の側面をつまんでしまえば、角にも脚にも指が届かないので、拍子抜けするほど落ち着いて持てたのを覚えています。

頭角と胸角のすき間には指を入れない

国産カブトムシの持ち方の解説には「短い方の角を持つ」と書かれていることがありますが、ヘラクレスにはそのまま当てはめられません。国産カブトムシは下の長い角が頭角、上の短い角が胸角ですが、ヘラクレスは長さの関係が逆で、上の長い角が胸角、下の角が頭角だからです。

下の頭角は頭から生えているため、ヘラクレスが頭を持ち上げると一緒に動き、上の胸角とのすき間が閉じます。ここに指が入っていると、ペンチのように挟まれてしまうわけです。よこやま動物病院のブログでも、角のあたりで指を挟まれるとかなり痛いと注意されています。持つのは胸の固い部分にとどめ、角と角の間には指を入れないようにしましょう。

持ち上げたら手のひらに移して短時間で

つまんで持ち上げたあとは、もう片方の手のひらの上にそっと下ろしてあげると落ち着くことがあります。宙ぶらりんで脚をばたつかせているより、つかまる場所があるほうが楽なのでしょう。

ただし、手に乗せるのは観察や写真撮影のあいだの短い時間だけにしてください。長時間持っていると暴れて体力を消耗し、成虫の負担になります。

持つ場所 OK/NG 理由
前胸の左右の側面(肩) OK 殻が固く、角にも脚にも届かない
胸角の付け根 OK 体と一体で動かない
頭角だけ NG 頭と一緒に動く部分で、体の重さを頭で支えさせることになる
頭角と胸角のすき間 NG 頭を上げるとすき間が閉じ、指を挟まれて痛い
お尻・上翅 NG 翅を傷めるおそれがあり、脚が届きやすい
脚 NG 引っぱると跗節(脚の先)が取れたり欠けたりすることがある
はると

国産カブトムシに慣れている方ほど、つい下の角を持とうとしてしまうんですよね。「上の長い角は胸から生えている」と覚えておくと迷いません。

ヘラクレスオオカブトは噛む?挟まれると痛い?

持つ前にいちばん気になるのが、噛まれたり挟まれたりしないかという点ですよね。噛まれてケガをする心配はありませんが、痛い思いをする場面が2つあります。

成虫は噛まないが角のすき間で挟む

カブトムシの成虫の口は、ゼリーや樹液をなめとるブラシのような形です。クワガタのような大あごは持っていないので、指を噛まれてケガをすることはありません。

痛いのは、頭を上げた拍子に頭角と胸角のすき間で指を挟まれたときです。力が強い虫なので、すき間に指を近づけないことがいちばん確実な対策です。

脚の爪とトゲが手や服に食い込む

もう一つは脚です。ヘラクレスの脚の先には鋭い爪があり、すねにはギザギザしたトゲが並んでいます。どちらも木の幹にしっかりつかまるための道具なので、手の甲や腕にしがみつかれると爪が皮膚に食い込んでチクッと痛みますし、服の繊維にも引っかかって離れません。

私の経験では、角よりもこの脚のほうが「痛い」と感じる場面はずっと多いです。半袖で腕に乗せていたら、細かいひっかき傷が残っていたこともありました。慣れないうちは長袖で触るのも一つの手かと思います。

性格はおとなしく暴れにくい

見た目の迫力とは裏腹に、ヘラクレスの性格はおとなしいほうだと私は感じています(個体差はあります)。持ち上げても角を振り回して抵抗するより、脚で何かにつかまろうとすることのほうが多いでしょう。子どもと一緒に飼えるかどうかといった向き不向きは、ヘラクレスオオカブトの飼育は難しい?初心者がつまずく点と費用の目安で詳しく書いています。

ケースや止まり木から取り出すときの持ち方

ヘラクレスを持つのは、たいてい飼育ケースから出すときです。状況ごとに手順を整理しておきます。

マットに潜った個体を掘り出す手順

  1. 潜っているあたりのマットを手で少しずつよけて、背中を出す
  2. 角の向きを確かめ、胸の側面が見えるところまでマットを取り除く
  3. 前胸の左右を親指と人差し指でつまみ、まっすぐ上に持ち上げる
  4. 脚にマットがついていたら、手のひらに乗せてから軽く払う

体がほとんど見えないうちに、角を引っぱって出そうとするのはやめましょう。マットの中では脚で踏ん張っているので、角だけを引くと体に無理な力がかかります。なお、羽化後に蛹室から出てこない個体は扱いが別です。羽化から1か月ほど(早くても3週間)は待ち、それでも出てこないときに、角や脚には触れず、体の下に手を入れてゆっくり持ち上げます。詳しくはヘラクレスオオカブトの羽化後の管理方法にまとめています。

止まり木にしがみついた個体をはがす手順

止まり木にしがみついた個体は、引っぱってもなかなか離れません。次の順番で外すとお互いに楽です。

  1. 止まり木ごとケースから取り出せるなら、それがいちばん安全
  2. はがす場合は、胸の側面を軽くつまんで体を支える
  3. もう一方の手のひらを前脚の前に差し出し、前脚が手に移るのを待つ
  4. 残りの脚も手のひらへ移ったのを確かめてから持ち上げる

手や服にしがみつかれたときの外し方

手の甲や腕、服にしがみつかれたときも、考え方は同じで「引っぱらない」が基本です。無理に引き離すと、爪が皮膚に食い込んで痛いうえに、脚の先の跗節(ふせつ)が取れたり欠けたりすることがあります。

  1. 胸の側面を軽くつまんで、体が動かないように支える
  2. 止まり木やケースの地面など、つかまれる足場にヘラクレスを近づける
  3. 足場に脚を移すのを待ち、全部の脚が移ったら指を離す
  4. 服やタオルの場合は無理にはがさず、布ごと外して足場の上に置く

霧吹きで脚のあたりを軽く湿らせると離れることがある、という方法も知られています。ただし確実な方法ではないので、まずは足場を近づけて待つ方法から試すのがよいかと思います。

はると

私も腕にしがみつかれたまま離れてくれず、しばらくヘラクレスと根比べになったことがあります笑 焦って引っぱるより、止まり木を近づけて待つほうが結局は早く外れました。

メス・幼虫・蛹の持ち方と触り方

メスや幼虫、蛹は、オスとは体のつくりも弱い部分も違います。ステージごとの持ち方をまとめました。

メスは胸の左右をつまんで持つ

メスには角がないので、迷わず前胸の左右の側面をつまみます。持ち上げてみると体に厚みがあるので見た目以上にずっしり重く、私も初めてメスを持ったときは、角がないのにこんなに重いのかと驚きました。

メスの体の特徴やオスとの見分け方は、ヘラクレスオオカブトのメスの特徴と見分け方の記事で詳しく紹介しています。

幼虫はスプーンかマットごとすくう

幼虫は成虫と違って大きなあごを持っていて、噛みます。指でつまむと噛まれることがあるうえ、柔らかい体を傷める心配もあるので、スプーンやマットごと手のひらですくうのが基本です。3齢になると手のひらからはみ出すほど大きく重くなるので、両手で下から支えるようにして持ち上げてください。

また、人の手の温度は幼虫にとって高く、素手で長く触っていると負担になります。マット交換のときにゴム手袋をつけておけば、素手よりも体温や手の雑菌が伝わりにくくなります。交換の手順は幼虫のマット交換の頻度とやり方の記事で、ステージごとの育て方はヘラクレスオオカブトの幼虫の育て方の記事で紹介しています。

前蛹・蛹・羽化直後は触らない

前蛹の時期から、蛹、羽化直後までは、基本的に触らないのが鉄則です。例外は、蛹室の場所が悪く人工蛹室へ移すかどうかを判断するときで、そのときもスプーンを顎にそっと近づけて噛むかどうかを見る程度にとどめます。蛹はとてもデリケートで、持ち上げたり転がしたりするだけで羽化不全の原因になります。人工蛹室へ移す必要があるときの手順はヘラクレスオオカブトの蛹の期間と管理方法を参考にしてください。

羽化したあとも、2〜3週間は上翅が固まりきっていないので触りません。ゼリーを食べ始める後食は羽化から1〜2か月ほどが目安(個体差が大きい)で、それまではできるだけそっとしておきましょう。羽化から1か月ほど待っても自力で出てこず、どうしても掘り出す必要があるときだけ、角や脚には触れず、体の下に手を入れてゆっくり持ち上げます。

ステージ 持ち方・道具 注意点
オスの成虫 前胸(胸角の付け根)の側面を指でつまむ 角のすき間に指を入れない・長時間持たない
メスの成虫 前胸の左右の側面を指でつまむ 重いので低い位置で持つ・脚を引っぱらない
幼虫 スプーンかマットごとすくう(3齢は両手で下から支える) 噛むのでつままない・素手で長く触らない
前蛹 基本は触らない 人工蛹室へ移すか判断するときだけ顎の反応を見る
蛹 触らない 持ち上げる・転がすだけで羽化不全の原因になる
羽化直後 羽化後2〜3週間は触らない 掘り出すのは羽化から1か月ほど(早くても3週間)待ってから。体の下に手を入れて持ち上げる
はると

蛹の時期は中をのぞきたくて仕方なくなりますが、ここは我慢のしどころです。待った時間は、きれいに羽化した姿を見たときに報われると思っています。

やってはいけないヘラクレスオオカブトの持ち方

持ち方そのものはシンプルですが、ついやってしまいがちなNGが4つあります。

頭角だけをつまんで持ち上げる

下の頭角は頭から生えていて、頭を動かすと一緒に動く部分です。ここだけをつまんで持ち上げると、大きな体の重さを頭で支えさせることになり、ヘラクレスに無理をさせてしまいます。しかも頭角をつまんだ指は胸角とのすき間のすぐそばにあるので、頭を上げられた瞬間に挟まれやすいのです。

しがみついた脚を無理に引きはがす

しがみついている脚を引っぱると、爪の引っかかった脚の先、跗節が取れたり欠けたりすることがあります。跗節は木やマットにつかまるための大切な部分で、成虫になってからは脱皮しないため、一度取れると元には戻りません。離れないときは足場を近づけて待ちましょう。

長時間持つ・手の上で歩かせ続ける

手の上を歩かせ続けると、ヘラクレスは落ちないように爪を立てて動き回ります。爪を立てて動き続けるぶん体力を使うので、観察や撮影が済んだら、早めにケースの止まり木の上へ戻してあげましょう。

立ったまま高い位置で持ち歩く

ヘラクレスは急に脚をばたつかせたり、翅を開こうとしたりすることがあります。立ったまま胸の高さで持ち歩いていると、手から落ちたときに床まで距離があり、重い体を打ちつけてケガをするおそれがあります。机の上など低い位置で扱う習慣をつけておけば、万が一落としても被害を小さくできるでしょう。

ペアリングやケース掃除のときの扱い方

ケースの掃除やペアリングのときは、ヘラクレスを別の場所へ移す必要があります。

ペアリングでオスをメスに乗せるとき

ハンドペアリングでは、オスを持ち上げてメスの背中に後ろから乗せます。持つ位置は基本と同じく胸角の付け根、胸の側面です。オスの頭がメスと同じ向きになるように、ケースや止まり木の上にいるメスにそっと覆いかぶせてあげましょう。

乗せたあとにオスが暴れたり降りてしまったりしても、無理に押さえつけないでください。成熟したオスなら自分からメスを脚で抱え込みますし、反応がなければまだ時期が早いのかもしれません。成熟の見極め方や手順は、ヘラクレスオオカブトのペアリング(交尾)のやり方で詳しく紹介しています。

マット交換・掃除で一時避難させるとき

成虫のケースを掃除したり、成虫用のマットを替えたりするときは、ヘラクレスを一時的に別の飼育ケースへ避難させます。このとき、止まり木にしがみついているなら止まり木ごと移すのがいちばんです。脚を引きはがさずに済むからです。

ひっくり返ると自力で起き上がれないことがあるため、止まり木を1本入れておくと安心です。ケースの大きさの目安や中の組み方はヘラクレスオオカブトの飼育ケースの選び方の記事を見てみてください。

子どもにヘラクレスオオカブトを触らせるときの注意

ヘラクレスを手に乗せる体験は子どもにとって特別なものですが、驚いて手を振り払ってしまうこともあるので、大人が段取りを整えてあげましょう。

大人がつまんで子どもの手のひらに乗せる

最初から子どもにつまませるのではなく、大人が胸の側面をつまんで持ち上げ、子どもの手のひらにそっと乗せてあげるのがおすすめです。乗せる前に、角と角のすき間には指を入れないこと、脚がチクチクしても振り払わないことを話しておきましょう。乗せている時間は短めにして、手から離れないときは大人が足場を近づけて外してあげてください。

はると

手のひらに乗ったときの重さに子どもが目を丸くする様子は、見ている大人にとっても楽しい時間です^^

座って低い位置で触り、あとで手を洗う

子どもが触るときは、立ったままではなく、テーブルの前や床に座らせて、手を低い位置に置いた状態にします。驚いて手を引いても落ちる高さが小さく済むので、ヘラクレスのケガを防げます。

触り終わったら、石けんで手を洗うところまでをセットにしましょう。私自身も、ヘラクレスを持ったあとは手を洗ってから次のことに取りかかるようにしています。

まとめ

ヘラクレスオオカブトの持ち方は、オスもメスも「胸の固い部分の側面を親指と人差し指でつまむ」が基本です。上の長い角が胸角、下の角が頭角で、頭を上げるとそのすき間が閉じて指を挟まれるので、角と角の間には指を入れないようにしましょう。しがみついた脚は引っぱらずに足場へ移るのを待ち、幼虫はスプーンかマットごとすくって、前蛹・蛹・羽化直後は触らずに見守ってください。

私個人的な意見ですが、持ち方を覚えると、ヘラクレスと過ごす時間がぐっと楽しくなります。手のひらに乗せたときのずっしりした重さは、何度味わってもいいものです!

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