ヘラクレスオオカブトの多頭飼いはできる?オス同士・オスメス同居・幼虫の可否を判定
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ヘラクレスオオカブトの多頭飼いはできる?オス同士・オスメス同居・幼虫の可否を判定

ヘラクレスオオカブトを何頭か迎えると、「ケースをいくつも並べるのは大変だし、1つにまとめて飼えないかな」と考えてしまいますよね。ペアで買ったオスとメスをそのまま一緒に入れておいていいのか、増えてきた幼虫をまとめて育ててもいいのかも、調べてみると意見が分かれていて迷うのではないでしょうか?

実は、多頭飼いの答えは「できる」「できない」の一言では決まらず、成虫か幼虫か、どの組み合わせかで変わってきます。成虫は交尾のとき以外は1頭1ケース、幼虫も1匹ずつが基本です。ただし幼虫は、メスや小さい時期なら同居させる方法もあります。

この記事では、オス同士、オスとメス、メス同士、幼虫の順に同居してよいかを判定し、共食いの心配や、分けられないときの置き方、今の同居をやめるときの手順までまとめました。この記事を読めば、手元の個体をどう分ければよいかが決められるでしょう。

この記事のまとめ
  • 成虫は1頭1ケースが基本。オス同士は必ず分け、オスとメスの同居は見守れる時間だけにとどめ、足場のある容器で試して、始まらないまま1時間ほど経つか、メスが逃げ続けるなら戻す
  • 幼虫の3齢オスは1匹ずつ。メスは広い容器でまとめて飼う例があるが、マット交換を早める
  • カブトムシの幼虫は基本的に共食いしないとされる一方、噛み合ってケガをすることはある

ヘラクレスオオカブトの多頭飼いはできる?組み合わせ別の判定

先に結論をお話しすると、成虫の多頭飼いはおすすめしません。農学博士の牧田習さんもDIMEの解説記事で、交尾させるとき以外は1頭ずつ飼うことを勧めています。カブトムシの飼育全般でも、月夜野きのこ園の成虫飼育の案内に、1つのケースに2頭以上入れるとケンカで弱ることがあるので、できるだけ1頭ずつにするよう書かれています。

成虫は1頭1ケースを基本にする

成虫で同居を避けたい理由は、ケガと消耗の2つです。オス同士は闘いになり、オスとメスを一緒にするとメスが休めず、メス同士でもゼリーの取り合いが起こります。どの組み合わせでも、ケースを分ければ防げる失敗なので、私は基本的に1頭につき1ケースをおすすめしています。

幼虫は時期と性別で分けて考える

幼虫は成虫ほど激しく争うわけではないので、判定が少し緩くなります。とはいえ、3齢のオスは体もマットの消費量も大きいので1匹ずつが基本です。同居を考えやすいのは、まだ小さい初齢〜2齢の時期と、3齢のメスを広い容器で育てる場合です。

同居してよいかを一覧で確かめる

ここまでの判定を表にまとめました。手元の組み合わせがどれに当たるかを、まず確かめてみてください。

組み合わせ判定理由
成虫のオス同士分ける闘ってツメや角を傷める
成虫のオスとメス交尾のときだけメスが消耗して寿命が縮む、挟まれる恐れがある
成虫のメス同士できれば分けるゼリーの取り合いが起こる
初齢〜2齢の幼虫1匹ずつが安全噛み合ってケガをすることがある
3齢のオスの幼虫1匹ずつ約10Lのマットが必要になる
3齢のメスの幼虫まとめて飼う例あり1頭あたりのマットが減り、劣化も早まる

オス同士の多頭飼いは避ける

オス同士の同居は、闘いで大きなケガにつながることがあるので避けてください。複数のオスを飼うなら、ケースも頭数分そろえるのが前提になります。

餌場やメスをめぐって闘う

ヘラクレスのオスは、餌場やメスをめぐって同じ種類のオスと闘うことがWikipediaでも紹介されています。飼育ケースの中ではゼリーの置き場所がそのまま餌場になり、逃げられる場所も限られますから、自然の中より鉢合わせしやすい環境だと言えるでしょう。

挟む力が事故を大きくする

ヘラクレスの闘い方は、頭角を相手の体の下に差し込み、胸角との間で挟んで投げ飛ばすというものです。同じWikipediaの記述には、激しい闘争では相手の前胸背板と腹部が切断されてしまうこともあるとあり、読んだときは驚きました。そこまでいかなくても、飼育ケースの選び方で触れているとおり、喧嘩でツメや角を傷めることがあります。

脚の先の跗節(ふせつ)も、成虫になってからは脱皮しないため、一度取れると元には戻りません。木やマットにつかまる大切な部分なので、闘いで失うと、その後の暮らしにも響いてしまいます。

広いケースでも同居はさせない

「広いケースならケンカしないのでは」と考えたくなりますが、私はおすすめしません。衣装ケースでも森に比べればごく狭い空間で、ゼリーの前で出会えば闘いになるかもしれないからです。オスのケースは幅30cm×奥行20cm以上が目安で、シーラケース コバエシャッター【大】が基準になります。150mmを超える個体なら特大サイズを選ぶと余裕があります。

はると

オス同士を闘わせてみたくなる気持ちはすごく分かります!ただ、ケガをしても脚の先は戻らないので、見るのは動画だけにしておくのがおすすめです笑

オスとメスの同居(一緒に飼う)は交尾のときだけ

オスとメスを一緒に飼うと、繁殖の手間が省けるように思えますよね。ところが、同居を続けるほどメスの負担が増えていくので、普段は別々に飼うのが基本です。

飼い続けるとメスが消耗する

オスは同居しているとメスに何度も乗ろうとするので、メスが休めず、メスの寿命が縮んでしまうことがあります。オスがメスを追い回すうちに脚先が取れたり、挟まれて傷ついたりすることもあるので、ペアで長生きさせたいほど分けて飼う意味は大きいでしょう。

また、成熟する前に一緒にしても交尾はできません。月夜野きのこ園の産卵の案内でも、エサを食べ始めてしばらくたってから同居させる流れになっています。ヘラクレスの場合、ペアリングは後食から3週間〜1か月を待つのが目安です。

同居させるのは見守れる時間だけにする

オスとメスを一緒にするのは、見守れる時間だけにしてください。足場のある容器で試し、始まらないまま1時間ほど経つか、メスが逃げ続けるなら、それぞれのケースへ戻します。一緒にしたまま目を離すと、メスが追い回されたり挟まれたりしても気づけないからです。

私個人的な意見ですが、交尾を目で確かめて、終わったらすぐ分けられるハンドペアリングがメスの負担も少なくてよいかと思います。手順はペアリングのやり方で詳しく解説しています。

ペアで買っても2ケース用意する

ペアで迎えるなら、最初からオス用とメス用の2つのケースをそろえておくと慌てずに済みます。メスは角がないので小〜中サイズで飼うことができ、シーラケース コバエシャッター【中】あたりが扱いやすいサイズです。

メス同士の同居はできれば分ける

メス同士ならケンカしないのでは、と思われるかもしれません。ゼリーの取り合いや同居によるストレスを避けるため、私はメス同士でも1頭につき1ケースをおすすめしています。

ゼリーの取り合いが起きやすい

ヘラクレスは雌雄ともによく食べるので、ゼリーの量と交換には気を配りたいところです。同じケースに2頭いれば片方が食べられないことがありますし、潜っている個体の上を別の個体が歩き回ると落ち着きません。こうした小さなストレスは、毎日のことだけに積み重なっていきます。

分けられないときは足場とエサを増やす

ケースの数を増やせない事情があるときは、大きめのケースを使い、止まり木とゼリーを頭数より多めに置いてください。マルカン くち木のような足場は転倒の保険にもなりますし、ゼリーはKBファーム プロゼリーのように数の多い袋が補充しやすいと思います。

もちろん、これはあくまで一時的な対応です。ゼリーの取り合いで片方が食べられない様子があれば、別のケースへ移してあげましょう。

幼虫の多頭飼いは時期と性別で決める

幼虫も、基本は1つの容器に1頭です。月夜野きのこ園の幼虫飼育の案内でも、多頭飼育は可能としながら、1容器1頭のほうが無難と書かれています。とはいえ幼虫の数が増えるとすべて個別にするのは大変なので、ここでは同居させてよい範囲を時期ごとに見ていきましょう。

3齢のオスは1匹ずつ育てる

3齢のオスは、約10Lのマットが入るケースで1匹ずつ育てるのが基本です。Q-BOX40や、天馬 DVDいれと庫(約12L)が定番で、幼虫の育て方でも同じ容器をおすすめしています。3齢の期間は9か月以上と長く、体重のほとんどがこの時期に乗るので、大きく育てたいならケチらないほうがよい部分です。

3齢のメスは広い容器で同居の例がある

メスはオスほど大きくならないので、約7.5Lのケースなら1匹ずつ飼うことができ、さらに複数をまとめて飼っている例もあります。アマゾニコ式のブリード方法では、Q-BOX40に3頭、もしくはQ-BOX30に2頭を入れる方法が紹介されています。この方法では、メスの多頭飼育のマット交換を2.5〜3か月ほどで行っています。同じ容器に入れると1頭あたりのマットは減り、頭数が増えるほど劣化も早くなるので、フンやマットの減り具合を見て早めに交換してください。

飼い方容器の目安マット交換の目安
3齢のオスを1匹約10L(Q-BOX40など)2〜3か月(10Lなら最長3か月20日前後)
3齢のメスを1匹約7.5L3か月に1回くらい
3齢のメスを3頭Q-BOX402.5〜3か月
3齢のメスを2頭Q-BOX302.5〜3か月

注意したいのは、オスが混ざらないようにすることです。雌雄の判別がはっきりしない個体はオスの容器に入れておき、3齢になって腹部の印を確かめてからメスだけをまとめるほうが安全かと思います。

初齢と2齢はまとめて育てる方法もある

孵化したばかりの初齢は、プリンカップで1匹ずつ管理するのが基本です。幼虫同士が噛み合ってケガをすることがあるので、1匹ずつにしておけばその心配がありません。

一方で、孵化後しばらくは1つの容器で育て、2〜3齢で分けるという飼育者の方法もあります。成長がそろいやすい反面、マットの減りが速くなるのが特徴です。月夜野きのこ園の幼虫飼育ページのコメント欄では、初齢〜2齢初期の4頭をクリーンケースLで飼う相談に、この時期なら多頭でも大丈夫としつつ、大きく育てたいなら個別飼育がよいと答えています。同じページには、1Lの容器での多頭飼育は3齢になると狭くなるという回答もあります。2齢までなら広い容器でまとめる方法もありますが、3齢が近づいたら分ける前提で考えておきましょう。

幼虫の同居を時期で決める4段階(初齢はプリンカップで1匹ずつが基本、2齢は広い容器ならまとめる方法もある、3齢のオスは約10Lで1匹ずつ、3齢のメスは交換2.5〜3か月の例あり)

大型容器で羽化をそろえる報告もある

少し変わった話として、特大プラケースや衣装ケースのようなかなり大きな容器でオスとメスの幼虫を一緒に育てると、ほぼ同じ時期に蛹になり、羽化の時期のズレを防げるという報告がWikipediaで紹介されています。ペアをそろえたい方には気になる話ですよね。

ただ、同じ記述には、複数の幼虫を同じ容器で蛹にすると蛹室が近くに作られることがあり、蛹になるのが遅れた個体は体に合った大きさの蛹室を作れず、角曲がりになることもあるとあります。私としては、確実な方法というより、試すなら失敗も覚悟のうえで取り組む方法として受け止めておくのがよいかと思います。

ヘラクレスの幼虫は共食いする?

幼虫を一緒にしていて心配になるのが共食いですよね。ただ、「共食いはしない」と聞いて安心しきるのも少し危険です。

カブトムシは基本的に共食いしないとされる

カブトムシの幼虫は、基本的に共食いしないと言われています。マットをエサにしている虫なので、私もそう考えていますが、ヘラクレスに限った調査は見当たらないので、絶対にないとは言い切れません。

噛み合ってケガをすることはある

ただし、食べる目的でなくても、間違って噛んで傷つけてしまうことはあります。同じ容器に入れる頭数が多いほど、出会う回数も増えるでしょう。私個人的な意見ですが、大きく育てたい個体ほど分けておくほうが安心かと思います。

幼虫が死んだら環境も疑う

同居中の幼虫が死んでいても、すぐ共食いやケンカのせいと決めつけないでください。幼虫はマットの再発酵や高温に弱く、環境が悪いと複数をまとめて落としてしまうことがあります。同じ容器の幼虫は同じ環境にいるわけですから、残りの個体を守るためにも幼虫が死ぬ原因の確かめ方を確認してみてください。

はると

幼虫は見た目がそっくりなので、同じ容器だと誰がどれだけ育ったのか分からなくなります。記録を楽しみたい方にも、1匹ずつのほうが向いていると思います^^

多頭飼いをやめて分けるときの手順

今まとめて飼っている個体を分けたいと思ったら、順番に進めれば難しくありません。先に必要な数を見積もってから、1頭ずつ移していきましょう。幼虫を移すときは、スプーンかマットごとすくえば大丈夫です。

ケースと置き場所を先に見積もる

分ける前に考えておきたいのが、ケースの数と置き場所、そしてマットの量です。成虫は頭数分のケースが必要で、幼虫も3齢のオスは1回の交換で10L近くマットを使います。たとえばオスの幼虫が3匹いれば、1回の交換で30L近くになる計算です。マット交換の頻度は2〜3か月に1回を基本に準備しましょう。10Lクラスなら状態を見ながら3か月20日前後まで延ばす方法もありますが、フンが目立つときは早めに交換してください。

飼い始める前の段階で迷っている方は、飼育の難易度と費用も参考になるはずです。ヘラクレスの飼育は、頭数がそのまま置き場所とマットの量に効いてきます。

成虫を別のケースへ移す

ここからは、後食が始まっている成虫を別のケースへ移す手順です。羽化してまだエサを食べていない個体は、エサを与えず触らないのが基本なので、動き出してから移しましょう。先に新しいケースに床材と止まり木を入れておきます。持つ場所はヘラクレスの持ち方で解説している前胸の左右の側面で、頭角と胸角のすき間に指を入れないようにしてください。

止まり木にしがみついている個体は、脚を引っぱらないことが大切です。無理に離すと脚の先が取れたり欠けたりすることがあるので、新しい足場を近づけて自分から移るのを待ちましょう。移したあとは新しいゼリーを入れ、温度を安定させて休ませてあげてください。

後食済みの成虫を別のケースへ移す4手順(新しいケースに床材と止まり木を入れる、前胸の左右の側面をつまむ、脚を引っぱらず足場を近づけて待つ、新しいゼリーを入れ温度を安定させる)

ラベルで親と羽化日を分けて記録する

多頭飼いのもう一つの弱点は、どの個体がどの親の子か分からなくなることです。繁殖を続けるなら、ケースごとに種類、産地、親のサイズと血統、累代、羽化日を書いたラベルを貼っておきましょう。分けたその日に書いておけば、あとから悩まずに済みます。

ほかのカブトムシとも同居させない

コーカサスオオカブトなど別の種類と同じケースに入れるのも避けてください。ヘラクレスのオスは別種のオスとも激しく闘うことがあるとWikipediaに書かれており、同種の同居と同じ危険があります。

はると

ケースが増えると大変そうですが、1ケース1頭なら世話の順番も決めやすいので、慣れてしまえば大変さは減ると思います!

オスとメスの羽化の時期がそろわないときの考え方は、ヘラクレスオオカブトの羽化ズレの原因と対策にまとめています。

まとめ

ヘラクレスオオカブトの多頭飼いは、成虫なら1頭1ケースが基本で、オスとメスを一緒にするのは見守れる時間だけにし、足場のある容器で試して、始まらないまま1時間ほど経つか、メスが逃げ続けるなら戻すのが安全です。幼虫は3齢のオスを1匹ずつ育て、メスや小さい時期は、容器の広さとマット交換の頻度を見ながら同居を考えるとよいでしょう。

ケースの数は増えますが、そのぶんケガや消耗の心配は減り、1頭ずつの成長もよく見えるようになります。この記事が、手元の個体の分け方を決める助けになれば、私も大変うれしいです。

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