
ヘラクレスヘラクレス(原名亜種)とは?特徴・生息地・大きさ・値段を解説
「ヘラクレスヘラクレス」という名前を見かけて、ヘラクレスオオカブトと同じものなのか、それとも別の種類なのか、はっきりしないまま調べている方は多いのではないでしょうか。お店のラベルには「ヘラクレス・ヘラクレス」や「ヘラヘラ」と書いてあるのに、図鑑には「ヘラクレスオオカブト」としか載っていない、ということもありますよね。
実は、名前がややこしく見えるだけで中身はとてもシンプルで、ヘラクレス・ヘラクレスは「ヘラクレスオオカブト」という種の中の原名亜種です。なぜなら、1758年にリンネが最初に記載した元祖のヘラクレスオオカブトがこの亜種であり、13ある亜種の中で最も古く名前がつき、最も大きくなる亜種でもあるからです。
この記事では、ヘラクレス・ヘラクレスとは何か、愛称「ヘラヘラ」の意味、グアドループとドミニカという生息地、太い胸角や光沢のある上翅といった特徴、大きさと最大記録、リッキーとの違い、入手難易度と過去の価格、飼育の考え方までをまとめました。この記事を読めば、「ヘラヘラ」という言葉を見かけたときに、それがどんなカブトムシなのかを迷わず説明できるようになるでしょう。
- ヘラクレス・ヘラクレスはヘラクレスオオカブトの原名亜種(愛称ヘラヘラ)で、グアドループ諸島のバス・テール島とドミニカ島だけに分布する
- 特徴は極めて太く長い胸角と光沢の強い上翅。野外最大172.7mm、飼育下では184.3mm(2025年時点)の記録がある
- 現地では採集・輸出が禁止されていて、日本で流通するのは繁殖個体。価格は2015年時点でペア8,000円〜10万円程度という情報がある
ヘラクレス・ヘラクレスとは
まずは、「ヘラクレス・ヘラクレス」という名前が何を指しているのかを整理しておきましょう。ここがわかると、ほかの亜種の話もすっと頭に入ってきます。
「ヘラクレスオオカブト」と「ヘラクレス・ヘラクレス」の違い(種と原名亜種の関係)
「ヘラクレスオオカブト」は、学名を Dynastes hercules という「種」の名前です。この種の中に、産地ごとの見た目の違いによって13の「亜種」が分けられていて、その全体像はヘラクレスオオカブトの種類は13種類!それぞれの特徴や希少性の違いとはで紹介しています。ヘラクレス・ヘラクレスは、その13亜種のうちのひとつで、学名は Dynastes hercules hercules と書きます。
つまり、ヘラクレスオオカブトとヘラクレス・ヘラクレスは別のカブトムシではなく、「種の名前」と「その中のひとつの亜種の名前」という関係です。ヘラクレス・ヘラクレスは1758年にリンネによって記載された、13亜種の中で最も古くに名前がついた亜種で、こうした亜種のことを「原名亜種」と呼びます(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。いわば、ヘラクレスオオカブトという名前の基準になった「元祖」ですね。
一般に「ヘラクレスオオカブト」といえばこの原名亜種を指していることが多く、ショップやオークションでも「ヘラクレス・ヘラクレス」「ヘラヘラ」の表記で並んでいるのを見かけることがあります。基本データは次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Dynastes hercules hercules |
| 記載 | 1758年(Linnaeus)。13亜種で最も古い原名亜種 |
| 分布 | 小アンティル諸島(グアドループ諸島バス・テール島、ドミニカ島) |
| 体長の目安(オス) | おおよそ50〜180mm台(資料によって幅がある) |
| 体長の目安(メス) | 50〜80mm前後 |
| 最大記録 | 野外172.7mm(1932年)/飼育下184.3mm(2025年時点) |
| 希少度の目安 | ★★★☆☆ |
愛称「ヘラヘラ」と学名の由来
日本の愛好家の間では、「ヘラクレス・ヘラクレス」を縮めて「ヘラヘラ」と呼ぶのが定着しています。「ヘラヘラ」という響きはちょっと気の抜けた感じがしますが、中身は世界最大級のカブトムシなので、初めて聞いた方は驚くかもしれません笑
学名の Dynastes hercules hercules は、「属名・種小名・亜種名」の3つを並べたものです。同じ「hercules」が2回続くのは誤植ではなく、原名亜種の亜種名には種小名と同じ語がそのまま使われるという、学名の決まりによるものです。種名のヘラクレスは、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスにちなんだもので、あの力強い姿にぴったりの名前だと個人的には思っています。

ショップのラベルで「D.h.hercules」のように学名で書かれていたら、この原名亜種のことです。「ヘラクレス」としか書かれていないときは、どの亜種なのかを一度確認してみると安心ですよ。
ヘラクレス・ヘラクレスの生息地
次に、ヘラクレス・ヘラクレスがどこに暮らしているのかを見ていきましょう。ヘラクレスオオカブトという種全体は中央アメリカから南アメリカにかけて広く分布していますが、原名亜種に限ると、その生息地はとても限られています。
グアドループ諸島とドミニカ島だけに分布
ヘラクレス・ヘラクレスが分布するのは、カリブ海に浮かぶ小アンティル諸島のうち、グアドループ諸島のバス・テール島と、ドミニカ島の2つだけです(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。グアドループはバス・テール島とグランド・テール島を中心にいくつかの島で構成されている地域ですが、ヘラクレスがいるのはバス・テール島だけで、隣のグランド・テール島には分布していません。バス・テール島には生息に向いた標高の高い土地がある一方で、グランド・テール島にはそれだけの標高がなく、人の手による開発も進んでいることが理由として挙げられているそうです。
島の中での暮らしぶりを見ると、バス・テール島では標高300m前後の場所に多く、ドミニカ島では沿岸部から内陸部まで幅広く分布しつつ、標高400m以上の場所に多いとされています。どちらの島でも1年を通して観察できますが、発生のピークは7月から9月ごろという情報があります。13亜種全体の分布を地図のイメージでつかみたい方は、ヘラクレスオオカブトの生息地を紹介した記事もあわせてご覧ください。
ちなみに、グアドループ産とドミニカ産の間に目立った違いはなく、外見で見分けることはできないとされています。産地の違いは、ラベルと販売者の情報で判断するしかないというわけですね。

世界最大級のカブトムシが、南アメリカの大陸ではなくカリブ海の小さな島に暮らしているというのは、初めて知ったときにかなり意外でした。島の標高と森が、あの体を育てているんですね。
現地では採集・輸出が禁止されている
「ヘラヘラは採集禁止なの?」と気になっている方もいるかと思います。答えを先に言うと、現地では原則として採ることも持ち出すこともできません。グアドループでは保護のため1986年に海外への輸出が禁止され、バス・テール島では採集そのものも禁止されています。ドミニカ島では採集自体は禁じられていないものの、2001年時点で標本を含めたすべての動植物の国外持ち出しが禁止されており、ヘラクレスオオカブトを殺傷したり国外へ持ち出したりすると処罰されるという情報があります(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。
そのため、2015年時点で日本に流通しているヘラクレス・ヘラクレスは、すべて繁殖個体とされています。人気が高いこともあって、昆虫ショップでは年間を通して在庫のある店も少なくないそうです。輸出が禁止される前にグアドループで採集されたラベル付きの標本はかなりの高値で取引されているという話もありますから、「野外採集個体」をうたう生体を見かけたら、産地と経緯を慎重に確かめたほうがよいでしょう。
ヘラクレス・ヘラクレスの特徴
ここからは、ヘラクレス・ヘラクレスの見た目の特徴を見ていきます。胸角、上翅と体毛、大きさの順に押さえておきましょう。
極めて太く長い胸角
ヘラヘラのいちばんの特徴は、何といっても胸角です。胸角は非常に長く、根元が極めて太く、ほとんど湾曲しないとされています。胸角の途中にある突起は、中央より少し根元寄りの位置に三角形で付きます。胸角の太さには個体差があり、太い型を「パチセラス」、細い型を「ステノセラス」と呼び分ける型名もあるそうです。
頭角のほうは一様に湾曲していて、先端の突起はやや強く曲がりますが、その先はあまり尖りません。頭角の根元にある突起は普通2本で、個体によっては3〜4本に増えることもあるとされています。胸角が太く力強さを感じさせる体つきが、日本でとくに人気が高く飼育する人も多い理由のひとつだという情報もあります。

正面から見たときの、胸角の根元のどっしり感がヘラヘラらしさだと思っています。写真で亜種を見比べるときは、まずここを見るのがおすすめです!
光沢のある上翅と白黄色の体毛
上翅(背中の硬い羽)は光沢が比較的強く、色は黄土色から少し青みがかったオリーブ色で、稀に青白くなる個体もいるとされています。上翅の黒い斑点はあまり大きくならず、前胸背の点刻(小さなくぼみ)は非常に小さくまばらです。体毛は白黄色で、メスも同じく白黄色ですが、背面の毛は赤褐色でやや長いという違いがあります。
上翅の色については、ケース内の湿度が高いと黒っぽく見えることがあるという情報もあります。色が変わったからといってすぐに体調が悪いとは限りませんので、まずはケースの乾き具合を確かめて、落ち着いて様子を見るのがよいかと思います。
大きさの目安と最大記録(野外172.7mm・飼育下184.3mm)
オスの全長(胸角の先から上翅の端まで)は資料によって幅があり、おおよそ50〜180mm台です。メスは50〜80mm前後です。現地で目撃される個体は90〜120mm程度が全体の7割を占め、160mm以上の個体はまず見られないという情報があります(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。自然界では、それだけ大きな個体は珍しいということですね。オスとメスの差や、ほかの亜種との体長の比較はヘラクレスオオカブトの大きさをオス・メス別に解説した記事で詳しく書いています。
最大記録は、野外では1932年にグアドループで採集された172.7mmのオスが、現存する最大個体とされています。自然界で採れた個体で、これより大きいものは知られていないそうです。飼育下の最大記録は、クワガタ・カブトムシ専門誌『BE・KUWA』を出しているむし社の飼育レコードに載っている184.3mm(2025年、台湾の黃聖堯氏)で、これはヘラクレスオオカブト全体の最大記録でもあります(参考:むし社 ビークワ飼育レコード)。野外の最大個体を飼育下の個体が10mm以上も上回っているわけで、記録がどう伸びてきたのかはヘラクレスオオカブトのギネス記録の歴代と最新情報をまとめた記事で紹介しています。
ヘラクレス・ヘラクレスとリッキーの違い
ヘラヘラと並んで日本でよく流通している亜種が、ヘラクレス・リッキーです。どちらも大きくなる亜種なので、「結局どこが違うの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。要点を表にまとめます。
| 項目 | ヘラクレス・ヘラクレス | ヘラクレス・リッキー |
|---|---|---|
| 胸角 | 非常に長く、根元が極めて太い | 細くスラっとした印象で、根元はあまり湾曲しない |
| 上翅の色・光沢 | 光沢が比較的強い黄土色〜やや青みがかったオリーブ色 | 光沢がやや弱く、濁った薄いオリーブ色〜濁った黄褐色 |
| 体毛 | 白黄色 | 黄褐色(オスの胸角では赤褐色) |
| 体長・最大記録 | オスおおよそ50〜180mm台/野外172.7mm・飼育下184.3mm(2025年時点) | オスおおよそ60〜170mm台/野外171mm・飼育下180.7mm(2022年時点) |
| 分布 | 小アンティル諸島(グアドループ諸島バス・テール島、ドミニカ島) | アンデス山脈沿い(ベネズエラ〜ボリビアの5か国) |
| 流通 | 日本で流通の多い亜種のひとつ。すべて繁殖個体 | 日本で流通の多い亜種のひとつ。エクアドル産・コロンビア産が多い |
一言でいえば、ヘラヘラは「胸角が太くどっしりしていて、上翅にツヤがある」、リッキーは「胸角が細くスラっとしていて、上翅の色が少し落ち着いている」という違いです。最大記録はヘラヘラが野外・飼育下ともにわずかに上回っていますが、リッキーにも180mmを超える飼育記録があり、迫力では引けを取りません。産地もまったく異なり、ヘラヘラがカリブ海の島に暮らすのに対して、リッキーはアンデス山脈沿いの5か国に分布しています。頭角の細かな違いや、リッキーならではの産地と価格の傾向についてはヘラクレス・リッキーの特徴とヘラクレス・ヘラクレスとの違いを解説した記事で詳しく解説しています。
ヘラクレス・ヘラクレスの入手難易度と価格
購入を考えている方がいちばん気になるのは、手に入りやすさとお金の話かと思います。まずは入手難易度から見ていきましょう。
店舗・オークションでの入手難易度|★★★☆☆
ヘラクレス・ヘラクレスは、むし社が2010年時点で「外国産カブトムシの中で最も飼育者数が多い種であろう」と評しているほど、飼育する人の多い亜種です(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。2015年時点の資料では日本に流通している個体はすべて繁殖個体とされ、年間を通して在庫を持つショップもあるとされていて、ヘラクレスオオカブトの亜種の中では、見つけること自体はそれほど難しくないでしょう。
では、なぜ星3つにしているかというと、「ただ手に入れる」のと「納得のいく個体を手に入れる」のとでは難しさが違うからです。流通している個体は繁殖個体なので、産地(グアドループ産かドミニカ産か)や血統、サイズはラベルと販売者の情報に頼ることになります。大型の血統や産地のはっきりした個体を探し始めると、途端に選択肢が絞られてくるでしょう。個人的には、初めての1頭なら産地よりもまず元気で健康な個体を選び、サイズや血統にこだわるのは2頭目以降でも遅くないと思っています。
価格の目安(2002年・2015年時点の資料)
ヘラクレス・ヘラクレスは、時期によって価格が大きく変わってきた亜種です。2002年10月時点のむし社の調査では、オスが120mm以上のペアで7万円から9万円以上、130mm以上では8万円から10万円以上が相場だったとされています(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。当時は流通量が少なく、専門店でも入手しづらかったそうです。それが2015年時点になると、ペアの通常価格は8,000円から10万円程度という幅で紹介されています。
| 時点 | 条件 | ペアの価格の目安 |
|---|---|---|
| 2002年10月 | オス120mm以上 | 7万円〜9万円以上 |
| 2002年10月 | オス130mm以上 | 8万円〜10万円以上 |
| 2015年 | 通常価格(サイズ・血統で幅がある) | 8,000円〜10万円程度 |
この幅の広さは、オスのサイズや血統によるものです。これらはあくまで過去の資料にもとづく目安ですので、いま買おうとしている方は、サイズ別・血統別の最新の傾向をヘラクレスオオカブトの値段の相場をまとめた記事で確認してみてください。

2002年ごろにはペアで10万円前後していた亜種が、繁殖個体が出回るようになって8,000円程度からの個体も見られるくらい身近になったのは、本当にありがたい話ですよね^^
ヘラクレス・ヘラクレスの飼育方法
ヘラクレス・ヘラクレスの飼い方は、ほかの亜種と同じで、ヘラクレスオオカブトの一般的な飼育方法がそのまま当てはまります。原名亜種だからといって特別な道具や手順が要るわけではないので、まずは温度管理の基本を押さえておきましょう。
温度は、成虫が22〜25℃、幼虫が20〜23℃、蛹が20〜22℃が目安です。幼虫期に25℃を超える環境が続くと羽化が早まって小型になりやすいので、夏場はエアコンなどで一定に保つのが基本になります。温度ごとの考え方や管理のやり方はヘラクレスオオカブトの飼育に適した温度と管理方法を解説した記事に詳しくまとめています。幼虫期間はオスで約1年半〜2年、メスで約1年〜1年半と長く、成虫の寿命は1年ほどです。少しでも長く一緒に過ごすためのコツはヘラクレスオオカブトの寿命について解説した記事で紹介しています。
ヘラヘラを選ぶ利点は、飼育する人が多いぶん情報も見つけやすく、困ったときに参考にできる経験談を探しやすいことです。大きく育てたい方は、まず温度を安定させ、幼虫のマット管理を丁寧に続けることから始めてみてください。成虫のお迎えから産卵、幼虫、蛹、羽化までの流れは、ヘラクレス飼育のまとめから各工程の記事をたどっていただけます。

はじめてのヘラクレス飼育にヘラヘラを選ぶのは、王道中の王道だと思います。最大記録を持つ元祖の亜種を、自分の手で大きく育てられるのはやっぱり嬉しいですよ!
まとめ
ヘラクレス・ヘラクレスは、ヘラクレスオオカブトという種の原名亜種で、1758年に記載された最も古い亜種であり、13亜種の中で最も大きくなります。生息地はグアドループ諸島のバス・テール島とドミニカ島だけで、現地では採集や輸出が禁止されているため、日本で流通しているのは繁殖個体です。極めて太く長い胸角と光沢のある上翅が特徴で、野外最大172.7mm、飼育下では184.3mm(2025年時点)の記録があります。
当サイトではそれぞれの飼育フェーズに合った情報を紹介しています。ぜひほかの記事もご覧になってみてください。
最後まで読んでいただき、お疲れさまでした。この記事を読んで「ヘラヘラ」という言葉の意味がすっきりしたのなら、私も大変うれしいです。せっかく元祖のヘラクレスを迎えるなら、大きく立派に育ててあげたいですもんね。
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