ヘラクレス・ブリュゼニ(ブルゼニ)の特徴は?生息地・大きさ・トリニダーデンシスとの関係・値段を解説
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ヘラクレス・ブリュゼニ(ブルゼニ)の特徴は?生息地・大きさ・トリニダーデンシスとの関係・値段を解説

ヘラクレスオオカブトの亜種の一覧や販売ページで、「ブリュゼニ」という名前を見かけた方もいるのではないでしょうか。検索するときに「ブルゼニ」と打ってしまう方もいるかもしれません。ところが販売ページを見ると「現トリニダーデンシス」と書き添えられていたりして、結局どんな亜種なのか、トリニダーデンシスと同じものなのか、分かりにくいですよね。

実は、ブリュゼニは南米ベネズエラ東部などに暮らす亜種で、資料によっては別の亜種として、また別の資料ではトリニダーデンシスと同じものとして扱われている、少しややこしい立場の亜種です。ただ、それぞれの資料が何をどう書いているかを順に見ていけば、名前の混乱はすっきり整理できます。

この記事では、ヘラクレス・ブリュゼニの名前の由来、トリニダーデンシスとの関係、生息地、見た目の特徴と大きさ、値段と入手のしやすさ、飼育の考え方までを、Wikipediaや原記載の書誌情報、販売店の説明をもとに解説します。読み終えるころには、販売ページの「ブリュゼニ」の表記を落ち着いて読めるようになるでしょう。

この記事のまとめ
  • ブリュゼニ(ブレウゼニとも)はベネズエラ東部のボリバル州とブラジルに分布する亜種で、オスの体長は66〜151mmとされる
  • 日本語版Wikipediaや当サイトの一覧は別の亜種、英語版Wikipediaなどはトリニダーデンシスと同じもの、2017年の研究はどちらも独立した種として扱っている。近年の雑誌でシノニムとされたことから、販売では「現トリニダーデンシス」と併記されることがある
  • 日本では流通が少ない亜種。頭角の付け根の2本の突起、黄土色の上翅と大きな黒斑が見た目の目安で、購入時は産地と累代の表記を確かめたい

ヘラクレス・ブリュゼニとは

ヘラクレス・ブリュゼニ(学名:Dynastes hercules bleuzeni)は、ヘラクレスオオカブトの亜種の1つです。カリブ海の島々ではなく、南米大陸(ベネズエラ東部とブラジル)に分布するヘラクレスで、当サイトの一覧でも13亜種の1つとして紹介しています。

ヘラクレス・ブリュゼニの基本データ

13亜種の全体像はヘラクレスオオカブトの種類は13種類!それぞれの特徴や希少性の違いとはで紹介しています。ここでは、ブリュゼニの基本データを表にまとめました(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」、GBIF)。

項目内容
学名Dynastes hercules bleuzeni
記載1995年(Silvestre & Dechambre)。1996年(Silvestre)と書く資料もある
呼び名ブリュゼニ・ブレウゼニ
分布ベネズエラ東部のボリバル州、ブラジル(ロライマ・パラ)
体長オス66〜151mm/メス55〜66mm
希少度(当サイト)★★★☆☆

オスは大きい個体で150mmを超えるとされていて、ヘラクレスらしい迫力のある亜種です。それでいて名前を知っている人は多くない、ちょっと通好みの存在だと私は感じています。

名前の由来と記載された年

日本語版Wikipediaによると、ブリュゼニという名前はフランス人のパトリック・ブルザン(Patrick Bleuzen)氏に由来します。同じ項目には「ブレウゼニ」という呼び名も併記されていて、「ブルゼニ」と表記されることもあります。カタカナにしたときの読み方が人によって揺れやすい名前なんですね。

記載された年は、資料によって書き方が違います。生物の名前を集めたデータベースのGBIFや英語版Wikipediaでは、シルベストル(Silvestre)氏とデシャンブル(Dechambre)氏による1995年の記載とされ、原記載はフランスの雑誌『Revue Française d'Entomologie』17巻52ページに載った論文です。一方、日本語版Wikipediaは、むし社の図鑑『世界のカブトムシ(上)』をもとに「Silvestre, 1996」と書いています。販売ページや図鑑で年が違って見えても、同じ亜種を指していると考えてください。

ブリュゼニとトリニダーデンシスの関係

ブリュゼニの名前でいちばん迷いやすいのが、トリニダーデンシスとの関係です。資料によって扱いが分かれているので、それぞれの書き方を並べて見ていきます。

同じ亜種とする資料と分ける資料

英語版Wikipediaの亜種の一覧では、トリニダーデンシス(Chalumeau & Reid, 1995)の後ろに「=bleuzeni」と添えられていて、2つを同じもの(シノニム)として扱っています。フランス語版Wikipediaにも、ブリュゼニは「トリニダーデンシスのシノニム」と注記があります(参考:Wikipedia「Hercules beetle」)。

いっぽう日本語版Wikipediaは、ブリュゼニとトリニダーデンシスを別の項目として載せています。そのうえで、トリニダーデンシスの項目には「ブリュゼニと同じ亜種として処理する研究者もいる」とあり、ブリュゼニの項目にもシノニムとされる場合がある旨の注記があります。当サイトの13亜種の一覧も2つを別々に載せていて、トリニダーデンシスをブリュゼニに含める研究者もいるほど特徴がよく似ている、と紹介しています。

さらに、3つ目の扱いもあります。遺伝子や形、生息環境をあわせてヘラクレスの仲間の分類を見直した2017年の研究では、ブリュゼニ(Dynastes bleuzeni)とトリニダーデンシス(Dynastes trinidadensis)を、どちらも亜種から独立した種に格上げしています。この研究では2つを同じものにはしておらず、それぞれ別の種として扱っています(参考:Huang(2017)の要旨)。

つまり、「別の亜種とする扱い」「同じものとする扱い」「どちらも独立した種とする扱い」の3通りが並んでいる状態で、どれかが間違っているというわけではありません。

「現トリニダーデンシス」と書かれる理由

販売ページを見ると、「ヘラクレスブリュゼニ(現ヘラクレストリニダーデンシス)」や「亜種ブリュゼニ(トリニダーデンシス)」のように、2つの名前が並べて書かれていることがあります。カブトムシ専門店ヘラゾウの商品説明には、最近のビークワ(むし社の雑誌『BE・KUWA』)でブリュゼニがトリニダーデンシスのシノニムとして掲載されたが、入荷したときの名前のまま販売している、という趣旨の説明があります(参考:ヘラゾウ 商品説明(2026年11月時点))。

「現トリニダーデンシス」という書き方は、こうした扱いの変化を受けたものと考えられます。同じショップでも、商品によって「現」が付くもの・付かないものがあり、名前の書き方の違いがそのまま中身の違いを表しているわけではありません。

はると

名前が2つあると混乱しますよね笑 迷ったら、まず産地の表記を見るのがいちばん確実です。

トリニダーデンシス側の産地や飼育下の最大記録は、ヘラクレス・トリニダーデンシスの特徴の記事にまとめています。

ヘラクレス・ブリュゼニの生息地

ベネズエラ東部のボリバル州とブラジル

日本語版Wikipediaによると、ブリュゼニはベネズエラ東部のボリバル州と、ブラジルのロライマ州・パラ州に分布するとされています。当サイトの一覧でも、ベネズエラのボリバル州を基産地(亜種を記載するときの基準になった産地)として記載された亜種として紹介しています。ほかの亜種を含めた生息地の全体像は、ヘラクレスオオカブトの生息地を紹介した記事で地図とあわせて見られます。

流通している個体の産地表記では、「ベネズエラとガイアナ国境付近」と書かれたものもあります(参考:ヘラゾウ 商品説明(2026年11月時点))。

トリニダーデンシス・リッキーとの位置関係

トリニダーデンシスは、カリブ海のトリニダード島・トバゴ島に分布する亜種です。ブリュゼニはその生息地から少し南の、南米大陸側に暮らしています。

また、ベネズエラには別の亜種のリッキーも分布していますが、リッキーが暮らすのは北西部から南西部のアンデス山脈沿いで、東部のブリュゼニとは地域が分かれています。同じ「ベネズエラ産」でも亜種が違うことがあるので、気になる方はヘラクレス・リッキーの特徴を解説した記事もあわせて読んでみてください。

ヘラクレス・ブリュゼニの特徴と大きさ

ブリュゼニのオスの見た目は、日本語版Wikipediaで、むし社の雑誌『BE・KUWA』の図鑑記事(2006年)をもとに次のように説明されています。

2本の突起がある頭角と三角の胸角突起

下側の角である頭角は、やや直線的に伸びます。先端の突起は長く、その手前の突起は棒状で先がやや尖ります。頭角の付け根には突起が2本あり、こちらも先が尖っています。

上側の胸角は、付け根のあたりでやや曲がり、中ほどはまっすぐです。胸角の突起は付け根寄りにあって、やや長めの三角形をしています。日本語版Wikipediaの亜種比較表では、胸角の太さは「太い」とされています。胸の周りの点刻(小さなくぼみ)は幅広く、粗いのも特徴です。

黄土色の上翅と大きな黒斑

上翅は光沢が鈍い黄土色で、黒い斑点が大きく入ります。体の毛のようすは、原名亜種のヘラクレス・ヘラクレスに準じるとされています。なお、2006年の図鑑ではメスは「未調査」とされています。

はると

付け根の2本の突起と黄土色の上翅。写真を見比べるときは、まずこの2か所を見てみてください!

オスは66〜151mmの中〜大型

体長は、オスで66〜151mm、メスで55〜66mmとされています(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。150mmを超えることもある一方で、原名亜種の飼育下の最大記録184.3mm(2025年)とくらべると、ひと回り小さい位置づけです。

むし社が公開している2025年度の飼育レコード表には、ブリュゼニの名前での記録は見当たりません。トリニダーデンシスの名前では、2013年の154.4mmが載っています(参考:むし社 飼育レコード)。亜種ごとの大きさの違いはヘラクレスオオカブトの大きさを解説した記事で、全亜種の記録はヘラクレスオオカブトのギネス記録の記事で紹介しています。

ブリュゼニとトリニダーデンシスの比較

トリニダーデンシスのオスの見た目も、日本語版Wikipediaで同じ2006年の図鑑記事をもとに説明されています。頭角はやや太短く、先端の突起は短めで、その手前の突起は棒状です。頭角の付け根の突起は普通1〜2本で、ほぼ棒状をしています。胸角は付け根がやや太く全体にまっすぐで、突起は原名亜種よりも付け根寄りにあります。上翅や胸の点刻、体の毛は「原名亜種とブリュゼニの中間型」とされていて、体長はオスで70〜154.4mmです。

ブリュゼニとトリニダーデンシスを表に並べると、次のようになります(参考:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。

項目ブリュゼニトリニダーデンシス
分布ベネズエラ東部・ブラジルトリニダード島・トバゴ島
オスの体長66〜151mm70〜154.4mm
頭角やや直線的。先端突起は長いやや太短い。先端突起は短い
頭角の付け根の突起2本で先が尖る普通1〜2本で棒状
胸角の突起の位置付け根寄り原名亜種より付け根寄り
上翅光沢が鈍い黄土色で黒斑が大きい原名亜種とブリュゼニの中間

見た目で比べやすい違いをまとめると、次のようになります。

ブリュゼニとトリニダーデンシスの見た目の違い(頭角、頭角の付け根の突起、上翅、オスの体長)

違いはあるものの、個体差もあるので、写真1枚で見分けるのは簡単ではないと私は感じます。ちなみに、どちらとも比べられることの多い原名亜種は、飼育下の最大記録が184.3mm(2025年)の大型亜種です。くわしくはヘラクレスヘラクレス(原名亜種)の特徴を解説した記事をご覧ください。

ヘラクレス・ブリュゼニの値段と入手難易度

日本語版Wikipediaによると、2002年10月の時点では、ブリュゼニはまだ日本に輸入されていなかったと思われる、とされています。販売店のヘラゾウの説明では、2002年に日本に初めて入荷したと言われていて、それ以降は野生の個体の入荷がないそうです。2つを合わせると、初めての入荷は2002年の終わりごろだったと考えられます。産地のベネズエラでは野生動物の輸出が法律で厳しく規制されていて、今後の入荷は絶望的と言われている、とも書かれています(参考:ヘラゾウ 商品説明(2026年11月時点))。

同じ説明には、野生個体の入荷から20年ほどのあいだにほかの亜種との交雑個体も多く出回り、いまは市場に出回る数が限られている、ともあります。そのため販売ページには、「F10」「F11」といった累代(飼育下で世代を重ねた回数)の表記が見られます。

値段はショップごとに、サイズやオスかメスか、成虫か幼虫かなどで付けられています。ヘラゾウの説明ではトリニダーデンシスやパスコアリと並ぶ「高額種」として扱われているので、一般的な亜種より高めになると考えておきましょう。なお、当サイトの13亜種の一覧では希少度を★3(5段階)としています。ヘラクレス全体の値段の考え方はヘラクレスオオカブトの値段の相場をまとめた記事で、買える場所の選び方はヘラクレスオオカブトの購入先を比較した記事で紹介しています。

気をつけたいのが、取り違えや詐欺です。同じ説明では、高額な亜種は特徴が出にくい小さな個体やメス、幼虫での詐欺が多いと注意をうながしています。買う前には、産地の表記があるか、累代と親のサイズが書かれているか、オスなら頭角の付け根の突起と上翅の色が特徴と合うかを確かめ、名前だけで判断しないようにしましょう。

ブリュゼニを買う前の確認点(産地の表記があるか、累代と親のサイズが書かれているか、オスなら頭角の付け根の突起と上翅の色、名前だけで判断しない)

分からない点があれば、出品者に産地や親の情報を質問してみてください。

ヘラクレス・ブリュゼニの飼育方法

ブリュゼニも同じヘラクレスオオカブトの亜種なので、飼育の基本はほかのヘラクレスと共通です。ここでは当サイトで案内している目安を紹介します。

温度は、全ステージを20〜25℃に収めるのが土台で、細かくは成虫22〜25℃・幼虫20〜23℃・蛹20〜22℃が目安です。くわしくはヘラクレスオオカブトの温度管理の記事にまとめています。幼虫はマットで育て、3齢のオスには約10Lのケースを用意するのが当サイトの目安です。容器やマット交換の流れはヘラクレスオオカブトの幼虫の育て方の記事で解説しています。

一般的なヘラクレスの幼虫期間は、孵化から羽化までオスで約1年半〜2年、メスで約1年〜1年半です。成虫の寿命は後食(羽化後に初めてエサを食べること)から半年〜1年ほどが目安になります。ブリュゼニでも、まずはこの目安で準備しておくとよいでしょう。

はると

数が少ない亜種だからこそ、累代を途切れさせずにつないでいけたら素敵ですよね^^

私個人的な意見ですが、流通の少ない亜種を迎えるなら、ほかの亜種と同じケースで飼わず、産地や累代を書いたラベルを容器に貼っておくことをおすすめします。交雑個体が出回った経緯を知ると、記録を残しておく大切さがよく分かります。

まとめ

ヘラクレス・ブリュゼニは、ベネズエラ東部のボリバル州とブラジルに分布する亜種で、ブレウゼニとも呼ばれます。オスの体長は66〜151mmで、頭角の付け根の2本の突起と、黄土色の上翅に大きな黒斑が入るのが特徴です。日本語版Wikipediaや当サイトの一覧は別の亜種、英語版Wikipediaなどはトリニダーデンシスと同じもの、2017年の研究はどちらも独立した種として扱っています。近年の雑誌でシノニムとして掲載されたことから、販売では「現トリニダーデンシス」と併記されることもあります。日本では流通が少ないので、購入するときは産地と累代の表記を確かめてから選びましょう。

当サイトではそれぞれの飼育フェーズに合った情報を紹介しています。ぜひ以下の記事もご覧になってみてください。

最後まで読んでいただき、お疲れさまでした。名前の事情を知ると、ブリュゼニの販売ページもぐっと読みやすくなるはずです。この記事が少しでも役に立ったなら、私もうれしいです^^

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