ヘラクレス・モリシマイの特徴は?名前の由来・生息地・大きさ・入手難易度を解説
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ヘラクレス・モリシマイの特徴は?名前の由来・生息地・大きさ・入手難易度を解説

ヘラクレスオオカブトの亜種の一覧を眺めていて、「モリシマイ」という名前が目に留まった方も多いのではないでしょうか。ほかの亜種は地名や方角が由来のようなのに、モリシマイだけは日本人の名前のような響きですよね。どんな見た目で、どこに住んでいて、いまでも手に入るのか、一覧記事の数行ではなかなか分かりません。

実は、モリシマイは日本人の研究者の名前がついた、ボリビアの高地に暮らす亜種で、全体がずんぐりとコンパクトなのに胸角が太く力強いという個性をもっています。

この記事では、モリシマイの由来、生息地、見た目の特徴と大きさ、入手のしやすさ、近縁のエクアトリアヌスやタカクワイとの違いまでを、Wikipediaや飼育レコードの情報をもとに解説します。読み終えるころには、モリシマイがどんな亜種なのか、ほかの亜種とどこが違うのかが分かるでしょう。

この記事のまとめ
  • モリシマイは2002年に記載されたボリビア西部の亜種で、名前は栃木県宇都宮市のアブラムシ研究家・森島啓司氏に由来する
  • 特徴はコンパクトで力強い体つき、強く下方へ湾曲した太い胸角、光沢の強い黄色味の上翅。オスは70mm台〜140mm台、飼育下の最大記録は164.2mm(2019年時点)
  • 入手難易度は店舗・ヤフオクとも★3。飼育方法は一般的なヘラクレスと同じ目安で管理する

ヘラクレス・モリシマイとは

ヘラクレス・モリシマイ(学名:Dynastes hercules morishimai)は、ヘラクレスオオカブトの13亜種のうちの1つです。一般に「ヘラクレス」と呼ばれるのは原名亜種のヘラクレス・ヘラクレス(通称ヘラヘラ)ですが、モリシマイはそれとは別に、南米のボリビアに分布する亜種として扱われています。

2002年に記載されたボリビアの亜種

ヘラクレスオオカブトは、分布する地域ごとに13の亜種に分けられています。全体の一覧はヘラクレスオオカブトの種類は13種類!それぞれの特徴や希少性の違いとはにまとめていて、モリシマイは当サイトの種類の記事では11番目に紹介している亜種です。

Wikipediaによると、モリシマイは永井信二氏が2002年に記載した亜種とされています。亜種の名前がついたのは比較的最近のことで、同じ13亜種のなかでは新しいグループに入ります。基本データを表にまとめました(出典:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。

項目 内容
学名 Dynastes hercules morishimai
記載 Nagai, 2002(永井信二氏)
分布 ボリビア西部のラパス県を中心に、コチャバンバ県やユンガス地方にも
体長 オス70mm台〜140mm台(資料によっては50mm台の個体から記載されています)/メス50〜60mm前後
最大記録 野外のオス147mm/飼育下のオス164.2mm(2019年時点・ボリビア・グアナイ産)
希少度 ★★★☆☆

モリシマイは、13亜種のなかでも「中型で、がっしりしていて、高地に住む」という三拍子がそろった少し変わった存在だと私は感じています。体長や記録の数字は、あとの特徴の節でくわしく見ていきます。

名前の由来は日本人のアブラムシ研究家

モリシマイという名前は、栃木県宇都宮市でアブラムシの生態を研究されていた森島啓司氏にちなんでいます。ほかの亜種を見ると、エクアトリアヌスは産地の国名であるエクアドルに由来するなど、地名にちなんだ名前が目立ちます。そのなかで、人の名前、しかもカブトムシではなくアブラムシの研究家の名前がついているのは、ちょっと意外ではないでしょうか。

Wikipediaには、命名直後の2002年10月の時点では、生体も標本も日本にはほとんど輸入されていないと考えられていた、という記述もあります。日本人の名前がついた亜種なのに、日本の飼育者の手元にはなかなか届かない時期があったことになります。その背景には、生息地の事情があります。次の節で見ていきましょう。

はると

カブトムシの亜種にアブラムシ研究家の名前がつくなんて、なんだか素敵だなと思います!

ヘラクレス・モリシマイの生息地

モリシマイがどこに住んでいるのかを見ていきましょう。

ボリビア西部ラパス県とコチャバンバ県

Wikipediaによると、モリシマイが分布するのはボリビア西部のラパス県を中心とした地域で、コチャバンバ県やユンガス地方でも、ほぼ同じ姿の個体が得られているそうです。ほかの亜種を含めた生息地の全体像は、ヘラクレスオオカブトの生息地を紹介した記事で見られます。

では、なぜ日本にほとんど入ってこなかったのでしょうか。Wikipediaによると、モリシマイの生息地は麻薬の原料の生産地や金鉱山、武装勢力の拠点となっていた場所があり、地元の人々でも立ち入ることが難しい危険地帯とされていました。そのため、命名直後の時点では日本に生体も標本もほとんど輸入されていなかった、と考えられていたそうです。

はると

人がなかなか入れない土地から見つかった亜種だと思うと、ロマンを感じます。

低地のエクアトリアヌスとの関係

Wikipediaには、ボリビアでは北部と北東部の低地にエクアトリアヌスが分布している、という記述があります。モリシマイはそれより内陸の西側、標高の高いエリアに住んでいる、という位置関係です。モリシマイは、13亜種のなかでもっとも標高の高い地域に生息する中型のヘラクレスだといわれています。

モリシマイはエクアトリアヌスの変異体として登録された亜種のようで、見た目がエクアトリアヌスに近い個体も確認されているといいます。エクアトリアヌスは、アンデス山脈東部からアマゾン川の上流域〜中流域に広がる、最も広範囲に分布する亜種です。広く分布するエクアトリアヌスのなかに、高地へ入り込んだ一群がいて、それが独自の特徴を備えたのがモリシマイ、と、あくまでイメージで捉えるとわかりやすいかもしれません。

見分けのポイントを、角・上翅・体毛・分布で並べてみました(Wikipediaの記載をもとにしています)。

亜種 角 上翅 体毛 分布
モリシマイ 頭角は短く幅があり、先端の突起は短く強く湾曲。胸角は太く、前方が強く下へ湾曲 光沢が強く、黄色味を帯びた黄土色で黒紋が多い 全亜種中もっとも黄色みが強い ボリビア西部〜中央部
エクアトリアヌス 頭角はやや細長く、あまり強く湾曲しない。胸角もそれほど強く湾曲しない 光沢は鈍く、黄褐色から明るい黄色。黒紋は安定しない 赤みの強い赤褐色 ボリビア北部〜北東部の低地ほか(アンデス東部〜アマゾン川上流・中流域)
タカクワイ 付属突起の発達が全亜種中もっとも弱く、スラッと細長い 褐色を帯びた黄土色で、黒紋はやや大きめ 赤褐色 ブラジル北部(ロンドニア州)

こうして並べると、同じヘラクレスの仲間でも、角の曲がり方や上翅の色合いがかなり違うことが分かります。タカクワイは突起の発達が最も弱いスラッとした角で、エクアトリアヌスは細めで曲がりが控えめ、モリシマイは短く太く強く湾曲、という対照的な並びです。

ヘラクレス・モリシマイの特徴

ここからは、見た目の特徴を体つきと角、上翅と体毛、大きさの順に見ていきます。

コンパクトで力強い体つきと太い胸角

モリシマイの第一印象は、全体がコンパクトで力強い体つきであることです。Wikipediaには、一見すると小アンティル諸島のマルティニーク島にいるバウドリィのような雰囲気だ、という趣旨の記述があります。バウドリィは、ヘラクレスのなかでも小型の亜種として知られています。つまり、モリシマイは大きくなる個体がいる一方で、体つきはずんぐりとしてまとまりがよい、ということになります。

角の形も独特です。オスの頭角は短く、上下方向に幅があり、先端の突起は短いものの強く湾曲しています。突起は2〜4個もつとされ、先端手前の突起は棒状で、先端がやや尖り、付け根は幅広いそうです。

目を引くのは胸角でしょう。胸角は光沢が強く、根元に近い半分は明瞭に窪んでいて、非常に強壮な作りです。前方の半分は強く下方へ湾曲し、胸角の突起は長い三角形で、付け根に近い位置にあります。細く長く伸びるタイプの角とは正反対の、太くて重厚な印象の胸角だといえます。

メスは小型で、全体に丸みがあり、黒色とされています。小楯板(背中の中央にある三角形の部分)は前半分が細かい点刻で覆われ、後ろ半分は光沢があります。メスは角がないぶん、このような細かな特徴が見分けの手がかりになります。

光沢の強い黄色い上翅と黄色みの強い体毛

前翅(上翅)は光沢が強く、黄色味を帯びた黄土色で、黒い紋が多いとされています。エクアトリアヌスの上翅は光沢が鈍く、黄褐色から明るい黄色で黒紋も安定しないとされているので、並べてみると光沢の強さが大きな違いです。写真で見比べるときは、色味よりも先に、まずツヤの具合を見るとよいかもしれません。

さらに、体毛にも特徴があります。モリシマイの体毛は、全亜種のなかでもっとも黄色みが強いとされています。エクアトリアヌスの体毛が赤みの強い赤褐色なので、毛の色にも違いが出るポイントです。メスの体毛も黄色味が強いそうです。

はると

個人的には、ツヤのある黄土色の上翅に黄色い毛が重なる配色が、モリシマイのいちばんの魅力だと思います。派手すぎず、でも存在感がしっかりあるんですよね。

大きさの目安と飼育下の記録

大きさは、オスで70mm台から140mm台、メスで50〜60mm前後とされています(出典:Wikipedia「ヘラクレスオオカブト」)。資料によっては、50mm台の小さな個体から記載されています。

記録のほうも見てみましょう。野外では147mmのオスの記録もあります。飼育個体の最大記録は、2004年時点で155.0mm、2008年時点で155.7mmと伸び、2019年時点では164.2mm(ボリビア・グアナイ産)まで更新されています。こうした飼育レコードはBE-KUWAの記録が出典で、むし社のビークワ飼育レコードのページにも一覧があります。

ここで面白いのは、飼育下の記録(164.2mm)が、野外の記録(147mm)を大きく上回っていることです。年は違いますが、エクアトリアヌスの記録(2008年時点162.6mm)に近い数字です。ヘラクレス全体の大きさの話はヘラクレスオオカブトの大きさの記事、ギネス級の記録についてはギネス記録の記事で紹介しています。

はると

中型といわれる亜種から160mmを超える個体が出ているのは、愛好家の工夫のたまものだと感じます笑

ヘラクレス・モリシマイの入手難易度[レア度]

気になる入手のしやすさですが、希少度は★3で、入手難易度も店舗・ヤフオクとも★3です。命名直後の2002年10月の時点では、日本にほとんど入っていなかったと考えられている亜種です。

店舗での入手難易度|★★★☆☆

ショップで幼虫や累代ペアの出品を見かけることがあります。

昆虫ショップの店頭や通販で見つけるときは、産地や累代の情報が書かれているかどうかを見ておくと安心です。モリシマイの産地はボリビアで、飼育下の最大記録の個体もボリビアのグアナイ産とされています。産地の表記は、見た目が似たエクアトリアヌスなどとの見分けの手がかりにもなります。値段については、ヘラクレスオオカブトの値段の相場をまとめた記事で全体の考え方を紹介しています。

ヤフオクでの入手難易度|★★★☆☆

ヤフオクでの入手難易度も同じく★3です。出品を選ぶときは、産地、累代、親個体のサイズといった情報がきちんと書かれたものを選ぶのが基本になります。

先ほど触れたように、モリシマイはエクアトリアヌスに近い見た目の個体もいるとされる亜種です。写真だけでは区別しにくいこともあるので、記録の分かる出品を選ぶか、わからない点は出品者に質問してみるのがよいでしょう。

はると

モリシマイを選ぶときは、「胸角が太い」「ツヤのある黄色い上翅」といった特徴を頭に入れておくと、写真を見る目が変わってくるかと思います。

ヘラクレス・モリシマイの飼育方法

モリシマイだけの特別な管理は要らず、ヘラクレス共通の目安で育てられます。同じヘラクレスオオカブトの亜種ですので、基本は一般的な飼育と同じと考えて大丈夫でしょう。

当サイトの飼育まとめで案内している目安は、成虫の管理温度が22〜25℃、幼虫が20〜23℃、蛹が20〜22℃です。幼虫の期間はオスで約1年半〜2年と長いので、温度管理をしながらじっくり付き合う心づもりが必要になります。温度管理の考え方はヘラクレスオオカブトの温度管理の記事、幼虫の育て方はヘラクレスオオカブトの幼虫の育て方の記事に詳しくまとめています。

成虫の寿命も、当サイトのヘラクレスオオカブトの寿命の記事と同じく、6か月〜1年ほどが目安です。飼育の全体の流れはヘラクレスオオカブトの飼育方法|初心者でもわかる完全ガイドにまとめています。迎える機会があれば、まず一般的な管理で様子を見ながら、温度や湿度の記録を残していくのがおすすめです。

まとめ

ヘラクレス・モリシマイは、2002年に記載された、ボリビア西部の高地に暮らす亜種です。名前は宇都宮市のアブラムシ研究家・森島啓司氏に由来し、コンパクトで力強い体つき、強く下に湾曲した太い胸角、光沢の強い黄色味の上翅と黄色みの強い体毛が特徴です。大きさはオスで70mm台〜140mm台、飼育下の最大記録は164.2mm(2019年時点)で、入手難易度は店舗・ヤフオクとも★3です。

当サイトではそれぞれの飼育フェーズに合った情報を紹介しています。ぜひ以下の記事もご覧になってみてください。

最後まで読んでいただき、お疲れさまでした。モリシマイのように由来や生息地の物語をもつ亜種を知ると、ヘラクレス飼育がもっと楽しくなるはずです。この記事が少しでも役に立ったなら、私もうれしいです^^

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