
ヘラクレスオオカブトの割り出しの時期とやり方|卵・幼虫の回収と割り出し後の管理
ヘラクレスオオカブトの産卵セットを組んでしばらくたつと、「そろそろ割り出してもいいのかな?」「卵をつぶさずに取り出せるかな?」と気になってきますよね。早すぎても遅すぎてもいけない気がして、ケースの前で手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
実は、割り出しの時期は「卵でこまめに取るのか、幼虫になるまで待ってまとめて取るのか」を先に決めてしまうと、ぐっと判断しやすくなります。手順そのものは、マットをひっくり返して固い層を少しずつ崩していくだけのシンプルな作業です。
この記事では、割り出しの時期の目安、用意するもの、具体的な手順、取り出した卵と幼虫の扱い方、割り出した後の産卵セットをどうするかまでを順番にまとめました。この記事を読めば、手元のセットをいつ・どうやって開ければいいのかがはっきりするでしょう。
- 卵で取るなら、よく産む時期は3日〜1週間ごと、落ち着いたら週1回ほどが割り出しの目安
- 幼虫で取るなら、セットから1か月半ほどたってケースの側面に幼虫が見えたころが目安(まだ卵のものも混じる)
- 卵は固く詰めた底のほうに多いので、ひっくり返したら上側から少しずつ崩し、見つけたらすぐ乾かない容器へ移す
ヘラクレスの割り出しとは?採卵との違い
割り出しは、産卵セットのマットをケースから出して、中にある卵や幼虫を取り出す作業のことです。卵だけを取り出すことは、特に「採卵」とも呼びます。
割り出しは産卵セットから卵と幼虫を取り出す作業
ヘラクレスのメスは、マットの中に潜って卵を産みます。外からは卵がほとんど見えないので、どれだけ産んだのかは、マットを出してみるまでわかりません。割り出しをしないまま置いておくと、孵化した幼虫が同じケースの中で育つことになり、マットが早く傷んだり、メスが卵を踏んでしまったりします。
そのため、産卵セットを組んだら「どこかのタイミングで必ず開ける」ものだと考えておくとよいでしょう。セットの組み方そのものはヘラクレスオオカブトの産卵セットの組み方で詳しく紹介しています。
卵で取るか、幼虫で取るかを先に決める
割り出しのやり方は、大きく分けて2つあります。ひとつは、数日〜1週間ほどの間隔でセットを開けて、卵のうちに取り出す方法です。もうひとつは、卵が孵化して幼虫になるまで待ってから、まとめて取り出す方法です。
こまめに卵で取る方法は、卵の数や有精卵かどうかを早く確かめられ、メスが卵を踏むリスクも減らせます。そのかわり、開けるたびに手間がかかり、取り出した卵の管理も必要です。まとめて幼虫で取る方法は手間が少ない一方で、開けるまで中の様子がわからず、マットの傷みにも気を配る必要があります。自分が作業できる時間の取りやすさで選ぶとよいでしょう。
ヘラクレスの割り出しの時期の目安
では、いつ割り出せばいいのでしょうか。時期の目安は、さきほどの「卵で取るか、幼虫で取るか」で変わります。どちらも、メスを産卵セットに入れた日を起点に数えます。
卵で取るなら3日〜1週間ごとが目安
卵で取る場合、最初の採卵はセットに入れてから1週間〜10日ほどが目安です。その後の間隔は人によってさまざまで、よく産むメスは3日ほどでたくさんの卵を産むので、産み始めのよく産んでいる時期は3日〜1週間ほど、ペースが落ち着いてきたら週1回ほどがひとつの目安です。100Lほどの大きなケースでセットを組んでいるなら、2週間以上空ける方法もあります。
間隔を短くするほど、メスが卵を踏んでしまうリスクは減らせます。ただ、開けるたびにメスは産卵を中断することになりますので、毎回開けすぎるのも考えものです。ケースの大きさと、自分が作業できる曜日に合わせて決めてしまうのがよいかと思います。
幼虫で取るならセットから1か月半ほど(卵も混じる)
幼虫になるまで待つ場合は、メスを入れてから1か月半ほどがひとつの目安です。月夜野きのこ園のカブトムシ全般の産卵の解説では、交尾済みのメスを入れて1か月半ほどたち、ケースの側面に幼虫が見えるようになったら、マットを出して卵と幼虫を取り出す流れが紹介されています。
ただし、ヘラクレスの卵は孵化まで約1か月かかります。1か月半で開けると、あとから産まれた卵はまだ卵のままで、幼虫と卵が混ざって出てきます。全部が幼虫になっているとは考えず、卵を移す容器も用意しておきましょう。産み始めが遅いメスもいるので、日数だけで決めず、側面に幼虫が見えているかも確かめてから開けると空振りを防げます。
さらに長く待つやり方として、アマゾニコ式のブリード方法では、卵では回収せず、産卵セットを組んでから4か月後に2齢中期〜終期の幼虫を割り出しています。こちらはメスを20日ごとに次のセットへ移していく方法とセットになっているので、そのまま真似るなら記事全体の流れも確認しておきましょう。

ケースの側面に幼虫が見えたら割り出しのサイン
日数とあわせて見ておきたいのが、ケースの側面や底です。マットの中に白い幼虫の姿が見えてきたら、孵化が進んでいるサインです。一方で、待っている間にマットの表面に幼虫が出てくる、フンが目立つ、熱や異臭がある、乾いてパサパサになっている、といった様子があれば、予定の日数を待たずに割り出しましょう。

側面に幼虫が見えると、ついニヤニヤしてしまいます(笑)。ただ、見えているのは側面のごく一部です。見える数だけで判断せず、日数とあわせて決めましょう!
初めての割り出しは焦らずに待つ
交尾から卵が見つかるまでの日数には個体差があります。セットに入れて数日で卵が見つかることもあれば、初めて見つかるまで長くかかることもあります。1回目の割り出しで卵がなくても、それだけで失敗と決めつけず、温度やマットの湿り気、メスが潜れているか、ゼリーを食べているかを確かめてみましょう。交尾の確かめ方はペアリング(交尾)のやり方の記事にまとめています。
ヘラクレスの割り出しに用意するもの
割り出しは、作業を始めてから道具を探すと、そのあいだに卵が乾いてしまいます。次の4つは、セットを開ける前にそろえておきましょう。
| 用意するもの | 使い道 |
|---|---|
| トロ舟・たらい・新聞紙 | ひっくり返したマットを広げる |
| やわらかピンセット・スプーン | 卵や幼虫をつぶさずに移す |
| プリンカップ・卵の管理ケース | 取り出した卵と幼虫の移し先 |
| ガス抜き済みのマット | 移し先に入れる・セットを組み直す |
マットを広げるトロ舟やたらい
産卵セットのマットをまるごとあけられる、浅くて広い容器を用意します。トロ舟がなければ、たらいや新聞紙の上でも作業できます。マットを広げて薄くしながら探せるので、容器は大きいほど作業が楽になりますよ。
卵と幼虫をつかむやわらかピンセット
卵や小さな幼虫は、指でつまむとつぶしてしまいがちです。私はシリコン製のやわらかピンセットを愛用していて、割り出しのときは手放せません。オレンジ色がコシのある卵用、緑色がとても柔らかい幼虫用になっています。強くつまむ道具ではないので、軽く支えるように持ち、移し先の容器のすぐ上で動かすのがコツです。詳しくはやわらかピンセットの記事で紹介しています。
マットごとすくいたいときや、育った幼虫を移すときは、スプーンのほうが向いています。ピンセットとスプーンの両方があると安心です。
移し先のプリンカップと卵の管理ケース
取り出した卵は卵の管理ケースへ、幼虫はプリンカップへ移します。割り出しでは一度にたくさん出てくることもあるので、プリンカップは多めに用意しておくと慌てずに済みます。卵を一時的に置いておくだけなら、産卵に使っていたマットを入れたカップでも大丈夫です。
ガス抜き済みのマットを前もって準備する
幼虫の移し先に使うマットや、セットを組み直すためのマットは、割り出しの日に袋から出してすぐ使うことはできません。発酵マットは加水せずに広げて1週間ほどガス抜きし、詰めてから3日ほど発熱しないことを確かめてから使います。割り出しの予定日から逆算して、早めに準備を始めておきましょう。
ヘラクレスの割り出しの手順
道具がそろったら、いよいよ割り出しです。流れは次の5つになります。
- メス・ゼリー・転倒防止材を先に取り出す
- ケースをひっくり返してマットをあける
- 底だった固い層から少しずつ崩す
- 見つけた卵と幼虫をすぐに移す
- 数と日付を記録する

手順1:メス・ゼリー・転倒防止材を先に出す
まずはマットの表面にあるゼリーや転倒防止材を取り出し、メスを探して別のケースへ移します。メスがマットの中に潜っているときは、表面から手でそっと探りましょう。割り出しの間、メスにはゼリーを入れた容器で休んでもらいます。
手順2:ケースをひっくり返してマットをあける
次に、ケースをトロ舟やたらいの上でひっくり返し、マットをかたまりのまま出します。ここで大事なのは、上下の向きを覚えておくことです。ひっくり返したかたまりの上側は、もともとケースの底だった部分になります。
手順3:底だった固い層から少しずつ崩す
ヘラクレスのメスは、固く詰めたマットの部分に卵を産みます。産卵セットは底のほうを最も固く詰めているので、卵が多いのも底のほうです。ひっくり返したかたまりの上側から、手で少しずつほぐしていきましょう。スコップなどで一気に掘ると卵を割ってしまうので、指先で割るように崩していくのがおすすめです。
手順4:見つけた卵と幼虫をすぐに移す
卵が見つかったら、やわらかピンセットで1つずつ移し先の容器へ入れていきます。卵は乾燥に弱いので、全部探し終わってからまとめて移すのではなく、見つけたそばから移して、容器にはフタをしておきましょう。幼虫が出てきた場合は、スプーンでマットごとすくってプリンカップへ移します。
手順5:数と日付を記録する
最後に、取り出した卵と幼虫の数、割り出した日を書き残しておきます。卵は産卵から約1か月で孵化するのが目安ですが、割り出した日に産まれたとは限りません。日付と数がわかっていれば、孵化を待つ目安になりますし、次の割り出しの間隔を決めるときの材料にもなります。
割り出したヘラクレスの卵と幼虫の扱い方
割り出しが終わったら、ここからは卵と幼虫の管理です。どちらも、乾燥と急な温度変化を避けることが基本になります。
卵はマット・ティッシュ・オアシスで管理する
卵の管理方法は、マットに埋める、湿らせたティッシュの上に置く、園芸用スポンジ(オアシス)の穴に入れる、の3通りがあります。マットなら孵化した幼虫がそのままエサを食べられますが、ティッシュとオアシスにはエサがないので、毎日のぞいて孵化を確認する必要があります。どの方法でも、乾かさないことが第一ですが、卵が水につかるほど湿らせるのも避けます。
| 管理方法 | 孵化後のエサ | 確認の頻度 |
|---|---|---|
| マット | そのまま食べられる | 乾き具合をときどき |
| 湿らせたティッシュ | ない | 毎日 |
| オアシス(園芸用スポンジ) | ない | 毎日 |
卵の管理中は20〜25℃を目安に、急な温度変化のない場所に置きましょう。私は100均のはがきケースにオアシスを入れた容器で卵を管理していて、作り方は卵管理はオアシスがおすすめの記事で紹介しています。
有精卵と無精卵を見分ける
割り出した卵がすべて孵化するとは限りません。有精卵は白〜薄茶色で、産みたての細長い形から約2週間で丸くふくらんでいきます。一方、茶色〜黒色で形が崩れていく卵は無精卵の可能性があり、1〜2週間ほどで腐ってしまいます。
割り出した日の色だけで判断せず、毎日の確認のときに、形の変化も見てください。交尾が確認できていても、有精卵になるとは限りません。無精卵ばかりが続く場合は再交尾を考え、それでもだめなら別の個体との組み合わせを検討しましょう。

産みたての卵は細長くて、ちょっと頼りなく見えるんですよね。ここから毎日少しずつ丸くなっていくのを見るのが、割り出しの一番の楽しみかもしれません^^
孵化した幼虫はプリンカップで1匹ずつ
孵化したばかりの幼虫は、まず自分が破った卵の殻を食べ、それからマットを食べ始めます。ティッシュやオアシスで管理しているなら、孵化に気づいた時点で幼虫用のマットへ移しましょう。移し先は、ガス抜きと加水を済ませた発酵マットを入れたプリンカップで、1匹ずつ入れて空気の通るフタをしておきます。
2齢で出てきた幼虫は大きめの容器へ
幼虫で割り出した場合は、すでに2齢になっている個体も混じります。初齢と2齢はそれぞれ約1か月で、2齢になると食べる量が増えてくるので、手狭になったら1〜2L前後の容器へ移します。容器の選び方は幼虫ケースの選び方で、齢ごとの育て方は幼虫の育て方で詳しく紹介しています。
なお、オスとメスを見分けやすくなるのは3齢からです。割り出しのときに無理に判別しようとせず、マット交換の機会に確認すれば十分です。見分け方は幼虫のオスメスの見分け方を参考にしてみてください。
割り出し後の産卵セットはどうする?
割り出しが終わったら、メスの様子を見て、もう一度セットに戻すのか、休ませるのかを決めます。
マットを詰め直してメスを戻す
メスが元気にゼリーを食べ、マットにも潜れているなら、セットを組み直して戻してあげましょう。詰め方は最初と同じで、底の3〜4割を最も固く、その上の3〜4割もしっかり押し固め、上の2割ほどはふんわり仕上げます。組み直しには、前もってガス抜きと発熱の確認を済ませておいたマットを使ってください。セットに使うマット選びはおすすめの産卵マットの記事も参考になります。
産卵を重ねるとメスの体力は少しずつ落ちていきます。潜りにくそうにしているときは、詰める固さを少しゆるめて様子を見ましょう。
メスが弱ってきたら休ませる
ゼリーを残すようになった、マットに潜らず表面にいることが多い、といった様子が見えたら、無理に産卵を続けさせず、マットを敷いただけのケースで休ませます。休ませている間もゼリーは切らさず、成虫の飼育温度の22〜25℃を目安に保ちましょう。
卵が採れない割り出しが続いたら
メスは産卵を重ねるうちに、少しずつ卵を産まなくなっていきます。元気にゼリーを食べてセットに潜っているのに、卵が見つからない割り出しが何回か続くなら、産卵はここまでと考えるのもひとつの選択です。そのあとはマットを敷いたケースに移して、残りの時間をゆっくり過ごさせましょう。

ヘラクレスの割り出しでよくある質問
割り出しで卵が見つからないときは?
まずは交尾から日が浅すぎないかを考えてみてください。卵が見つかるまでの日数には個体差があります。そのうえで、産卵セットの温度が23〜25℃前後に保てているか、マットが乾きすぎていないか、底が固く詰まっているか、メスがゼリーを食べているかを確かめましょう。産卵しないときの原因は産卵セットの組み方の記事でも取り上げています。
割り出しで卵をつぶしてしまったら?
つぶれてしまった卵は、残念ながら元には戻せません。ほかの卵を乾かさないことを優先して、作業を続けましょう。卵をつぶしやすいのは、スコップで一気に掘ったときや、指でつまんだときです。固い層は指先で割るように崩し、卵はやわらかピンセットで軽く支えて移すと、つぶすことを減らせます。また、割り出したときにすでにつぶれている卵が多いなら、メスが卵を踏んでいるのかもしれません。割り出しの間隔を短くしてみてください。

割り出した卵の数は、1回ごとにメモしておくのがおすすめです。合計が見えると、次のセットを組むかどうかも決めやすくなりますよ!
割り出しで卵は何個とれる?
1頭のメスから取れる卵の数は、20〜30個ほどのことも、多いと100個を超えることもあり、個体差がとても大きいです。月夜野きのこ園のヘラクレス・ヘラクレスの飼育マニュアルでは、産卵数の目安を50〜80個としています。1回の割り出しで少なくてもそれだけで判断せず、何回か割り出した合計で見ましょう。
まとめ
ヘラクレスオオカブトの割り出しは、卵でこまめに取るなら3日〜1週間ごと、落ち着いたら週1回ほど、幼虫で取るならセットから1か月半ほどが目安です。ケースをひっくり返したら、もともと底だった固い層から指先で少しずつ崩し、見つけた卵と幼虫はすぐに乾かない容器へ移しましょう。
割り出した後は、メスの食欲と潜り方を見て、セットに戻すか休ませるかを決めてください。卵が丸くふくらみ、幼虫が顔を出したときのうれしさは格別です。この記事が少しでも割り出しの参考になったのなら嬉しいです。割り出しがうまくいきますように!
当サイトではそれぞれの飼育フェーズに合った情報を紹介しています。ぜひ以下の記事もご覧になってみてください。
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