ヘラクレスオオカブトの飼育温度って、調べてみても幅がありすぎて結局のところ何度がいいのかわかりづらいですよね。
実は、ヘラクレスオオカブトの飼育温度には、ピンポイントの適温ラインが存在します。実際に、多くのプロブリーダーの管理温度に大きな差はないように感じます。
この記事では、私がヘラクレスオオカブトを飼育してきた経験と調べた情報、聞いた情報をもとに、できるだけわかりやすく飼育温度についてまとめてみました。この記事を読めば、ヘラクレスオオカブトの温度の悩みから解放されるでしょう。
ヘラクレスオオカブトの飼育温度|成虫編
ヘラクレスオオカブトの成虫の飼育温度は20~28度がよいとされています。この温度帯であれば、生体に大きな負担を与えることなく飼育できるようです。
ただし、ヘラクレスブリーダーの中で、常に26度以上で管理している方はほとんどいないと思ってよいので、温度で迷った場合は、とりあえず23度くらいで管理していただければ間違いないです。
ここからは目的別の理想飼育温度を解説していきます。
羽化直後(休眠期間)の飼育温度
羽化直後のヘラクレスオオカブトはデリケートですので、できるだけ一定の温度下で管理するようにしましょう。
早く成熟させたい場合の飼育温度
ヘラクレスオオカブトは羽化してから成熟までに2~3か月かかります。この期間をできるだけ短くしたいのであれば、飼育温度を高めに設定するのがおすすめです。
具体的には、25~26度くらいがおすすめでしょう。
飼育温度を気持ち高めに設定することでヘラクレスオオカブトの活動を促し、通常より2~3週間早く成熟してくれることもあります。
※個体差がありますのでご注意ください。
成熟を遅らせたい場合の飼育温度
成熟を遅らせたい場合の具体的な設定温度としては、22~23度くらいがおすすめです。
ペアリング予定のオスとメスの羽化時期がズレてしまった場合、早く羽化してしまった方の飼育温度を低く設定することも効果的だからです。
こうすることで、成熟のタイミングを合わせることができ、理想の時期に産卵セットを組むことができます。
温度が低ければ成熟までの期間は長くなる傾向にありますが、20度を下回るような低温環境下では死んでしまう可能性がありますので、注意してください。
産卵セット中の飼育温度
産卵セットを組んでいる間の温度は25度前後にしてあげるとよいでしょう。
産卵セットを組んでいる最中は、温度を高めに設定すると産卵を促進してくれるからです。普段23度前後で管理されている方は、少し温度を高めに設定する卵がたくさん取れやすくなります。
ヘラクレスオオカブトの飼育温度|幼虫編
ヘラクレスオオカブトの幼虫飼育の温度は、成虫管理時よりも低めの温度を意識しましょう。
具体的には20~23度くらいがベストでしょう。25度を超えてくると幼虫期間が短くなる傾向にあり、早く羽化してくれるというメリットがある一方で、大型になりづらくなってしまいます。
初齢~3齢幼虫の期間の飼育温度
まずは、幼虫期間の飼育温度について飼育スタイル別にご紹介していきます。
早く羽化させたい場合の飼育温度
とにかく早く羽化させて成虫のヘラクレスオオカブトを見てみたい!そんな方は、25~26度の飼育温度で管理することをおすすめします。
この温度帯であれば、ヘラクレスオオカブトの幼虫に負担を与えることなく、程よく成長を促進させることができます。
孵化してから成虫になるまで、オスで15か月ほど、メスで12か月ほどで羽化してきたケースもあります。もっと早く羽化する可能性ももちろんありますので、記録更新した!という方はご連絡ください。
大型を目指したい場合の飼育温度
とにかく大型のヘラクレスオオカブトを育てたい!幼虫期間なんて関係ねえ!という方は、20度前後の飼育温度で管理してみましょう!
低温管理をすれば幼虫期間が長くなり、その分エサを食べる期間も長くなるので大型になりやすいです。
マットの交換回数が増えて、出費がかさむ。。なんてこともありますので、ご利用は計画的に。
サナギの期間の飼育温度
ここまで飼育スタイル別におすすめの温度をご紹介してきましたが、サナギの飼育温度は別です。
あくまで私個人の意見ですが、サナギの飼育温度はこれから紹介する温度で管理をしていただく方が、羽化不全なく無事に羽化してきてくれる可能性が高まる気がしています。
サナギは低温管理が安全!
結論から申し上げますと、ヘラクレスオオカブトのサナギの飼育温度は20~23度くらいがおすすめです。大型を目指したい場合の温度管理とだいたい同じですね。
実はヘラクレスオオカブトは、サナギのサイズが大型になればなるほど、羽化不全の確率が高まります。この不全率を下げる1つの手段として低温管理が挙げられるのです。
小型のオスやメスのサナギの場合はそこまで気にする必要はないかもしれませんが、保険をかけておくに越したことはありません。
低温管理をしてもしなくても、サナギの期間は2か月前後と大体決まっていますので、安全に羽化する温度で管理してあげるのがよいでしょう。
ヘラクレスオオカブトの飼育温度を管理するメリット
ヘラクレスオオカブトの飼育温度の管理は何故しなければいけないのでしょうか。1つの答えとしては飼育温度の管理をしてあげないと「死んでしまうから」という答えが妥当でしょう。
しかし、実は飼育温度を管理する理由にはそれ以外の理由(メリット)がありますので、ここで確認していきましょう。
成虫の温度管理をするメリット
まずはヘラクレスの成虫の飼育温度を管理するメリットからご紹介していきます。
メリット1.寿命が延びる
成虫の場合、適切に飼育温度を管理してあげることによって寿命が延びるというメリットがあります。
ヘラクレスオオカブトの平均寿命は成熟後で約6か月~12か月程と言われていますが、適切な環境下においてはこの寿命を限りなく12か月に近づける、あるいは12か月以上になるなんてことも珍しくありません。
休眠期間も合わせれば1年6か月くらい生きているケースもあるので、比較的、長期間飼育を楽しめる種であるともいえるでしょう。
メリット2.卵をたくさん産んでくれる
ヘラクレスオオカブトは産卵する際に適した温度帯というものが存在します。
産卵セットを組む際には、産卵に適した温度帯で管理をしてあげることで、より多くの卵が取れるようになるのです。
多くの卵をとるために必要な要素は複数ありますが、温度も重要だということを覚えておきましょう。
幼虫の温度管理をするメリット
続いては、ヘラクレスオオカブトの幼虫飼育において飼育温度を管理するメリットをご紹介していきます。
メリット1.大きく育ちやすい
ヘラクレスオオカブトの幼虫飼育において、飼育温度の管理を意識することはより大きな個体を作り出すのに不可欠な要素です。
高い温度帯で飼育をすればそれだけ早く成虫になってくれますが、大きな個体は望めません。
一方で、低い温度帯で飼育された幼虫は成虫になるまでの期間が長くなりますが、その代わりにエサを食べる期間も長くなるので大きくなりやすいと言われています。
ただし、低すぎる温度は幼虫の体に負担を与えてしまうので、絶妙な温度設定が必要になるのです。
メリット2.羽化ズレが防げる
飼育温度によって成虫になるまでの期間が変化するということは、羽化のタイミングをある程度は人為的にコントロールできるということになります。
- オス:18か月~24か月
- メス:12か月~18か月
具体的なヘラクレスオオカブトの幼虫期間については以下の記事で紹介していますので、気になる方は合わせてお読みください。
ヘラクレスオオカブトは、オスとメスで羽化までの期間が最大で1年ほどズレる可能性があります。こうした羽化ズレを防ぐために飼育温度を意識しているヘラクレスブリーダーさんも少なくありません。
ヘラクレスオオカブトのブリードを本格的に行っていくのであれば、こうした飼育温度の管理は必須項目になってくるでしょう。
ヘラクレスオオカブトの飼育温度の管理方法
以下にご紹介する飼育温度の管理方法は、いづれも通年管理が可能です。それぞれメリットとデメリットも併せてご紹介していますので、是非参考にしてみてください。
管理方法1.「エアコン」を使う
先に結論をお伝えしますが、ヘラクレスオオカブトの飼育温度の管理は「エアコン」の使用がおすすめです。
エアコン管理のメリット
まずはエアコン管理のメリットから解説していきます。
メリット1.管理費が安い
誰もが一度は聞いたことがあるかと思いますが、エアコンは頻繁に電源をオンオフするよりも、つけっぱなしにしている方が電気代は安く上がるのです。
これは1年中、一定の温度をキープし続ける必要がある昆虫飼育においては大変、大きなメリットであると言えるでしょう。
メリット2.人間も1年中快適
夏場は冷房の25度、冬場は暖房の25度といったように、室温を常に25度前後でキープするということは、人間にとっても暑くも寒くもない快適な温度であると言えます。
ヘラクレスオオカブトの飼育をするついでに、普段の生活も快適な環境が手に入るのはまさに一石二鳥です。
エアコン管理のデメリット
ヘラクレスの飼育におすすめであるエアコン管理もメリットだけではありません。ここからはエアコン管理のデメリットを確認していきましょう。
デメリット1.温度変化が大きい
エアコンでの飼育温度管理は正直あまりあてにならないことが多いです。
例えば、夏日に冷房25度で設定していたとしても、真夏の昼間には室温が26~27度近くになってしまうことがあります。
そのため、定期的にチェックできる環境がない方にとっては、多少の不安が残る管理方法ともいえるでしょう。
デメリット2.故障したら終了…
これはエアコンに限ったことではないですが、故障をした瞬間に室温が急激に変化し、飼育しているヘラクレスが全滅してしまう。。なんてことも考えられます。
後に紹介するワインセラーのような、別の管理方法があるのであれば安心ですが、エアコン管理にのみ頼っている状況は、多少のリスクを伴っていることを心得ておきましょう。
管理方法2.「ワインセラー」を使う
ワインセラーはカブクワブリーダーさん御用達のアイテムです。
似たような商品にワインクーラーというものがあるのですが、こちらは””冷やす”専門の商品になりますのでご注意ください。
ワインセラー管理のメリット
まずは、ワインセラーでヘラクレスオオカブトの飼育をするメリットからご紹介します。
メリット1.温度や湿度を一定に保ってくれる
ワインセラーの対応温度内であれば自由に設定でき、その温度で保ってくれるのが最大のメリットでしょう。
また、ワインの適正湿度である70~80%にセラー内を保つ機能もあるので、乾燥で困ることもありません。
メリット2.棚としても使える
ワインセラー内にはワインを管理するための棚が設置されており、取り外しも自由に効くものが多いです。
温度管理としてだけではなく、飼育ケースをきれいに収納できるスペースとしても活躍してくれるのがワインセラーです。
ワインセラー管理のデメリット
お次はワインセラーのデメリットをご紹介していきます。
デメリット1.容量的に多頭飼いには向かない
正直、ヘラクレスオオカブトの飼育にはワインセラーは向いていないと思います。その最大の理由がワインセラーの容量です。
ヘラクレスオオカブトはたとえ幼虫であっても、飼育するためにはそこそこ大型のケースが必要になります。
一方でワインセラーの容量はヘラクレスオオカブトを多頭飼い出来るほどのスペースはなく、特別大型のワインセラーを飼わない限りはせいぜい10匹ほどの飼育が限界でしょう。
デメリット2.設備投入費や維持費が高い
ワインセラーは非常に高価です。
カブクワに飼育に対応した温度管理ができるものを、、長く使えるものを、、
こんな風にこだわっていくと、安くても10万円~の設備投入費がかかってきます。ここからさらに電気代が加わるのですが、最新式でも年間5,000円前後、中古で購入したような年代の古いタイプですと燃費が悪く年間1,0000円ほどかかる場合もあります。