ヘラクレスオオカブトの産卵セットの組み方がいまいちよくわからない、という方は多いのではないでしょうか。どうせなら爆産してくれるようなセットを組みたいですよね。
実は、ヘラクレスに適した環境を用意してあげることで、意外と簡単に爆産セットって組めるんです!
この記事では、ヘラクレスの産卵セットを初めて組む方に向けて、必要な道具や産卵セットを組む手順、爆産させるポイントをご紹介していきます。この記事を読めば、ヘラクレスオオカブトの卵が100個近く取れるようになるでしょう!
ヘラクレスオオカブトの産卵セットを組む準備をしよう!
ヘラクレスの産卵セットを組み始める前に、用意すべきものについて確認していきましょう!
ヘラクレスオオカブトを成熟させる
まず前提として、産卵セットを組む(卵を産ませる)ためには成熟したヘラクレスのオスとメスを用意する必要があります。
成熟の定義は明確にはないですが、以下に、よく言われる成熟の目安をご用意してみました。
- 夜中によく動き回る
- 羽ばたく仕草や様子が見られる
- ゼリー(16g or 18g)を一晩で完食する
- 後食から3週間~が経過している
上記の目安が2つ以上当てはまるようであれば、成熟しているとみてもよいでしょう。
産卵用のマット
ヘラクレスの産卵に適したマットは熟度の高いマットです。マットの商品名に”完熟”などと入っているのがそれですね。
熟度の低いマットや未熟成のマットだと産卵してくれませんが、熟度の高いマット(基本的にはカブト用マットとして売られている茶色いマット)であればしっかり産卵してくれるはずですので、産卵用マットに関しては無理して高価なものを選ぶ必要はないでしょう。(幼虫飼育用のマットはもう少しよく選ぶ必要がありますが、、)
とはいえ「どれを選べばよいかよくわからない!」という方のために、おすすめの産卵マットをご紹介している記事をご用意しましたので、参考にしてみて下さい。
その他必要な道具
ヘラクレスの産卵セットを組むのに必要なものをまとめておきます。
- 大型の飼育ケース(またはコンテナボックス):産卵セットのケース
- トロ船
- 転倒防止材(複数のゼリー台やウッドチップなど)
- ゼリー
大型の飼育ケース
こちらはヘラクレスの産卵セットを組むための入れ物になります。
”大型のケース”と書いたものの、実際は小さいケースでも卵はしっかり産んでくれます。最低でも中サイズのコバエシャッターくらいの大きさがあれば十分でしょう。
ケースが大きいほど、産卵セットを組んでから採卵までの期間を長く確保できるので、「週に1回採卵するのは時間的に厳しい」というような忙しい方は、より大きめなケース(コンテナボックスなど)を選ぶとよいでしょう。
トロ船
トロ船とは、セメントやコンクリートを練る際に使用する浅くて大きい容器のことです。
このトロ船に産卵マットを入れて加水したりと、産卵セットを組む前の一時的なマットの保存場所として使用します。
転倒防止材
これは産卵セットを組み終わった後、マットの表面に置きます。ヘラクレスのメスが転倒してしまった際に、自分で起き上がるための引っ掛かりを用意するためです。
なくても大丈夫なものではありますが、万が一メスがひっくり返ってしまって、自分で起き上がれない状態が長時間続いてしまうと、そのまま衰弱してしまい、最悪の場合死んでしまう可能性すらあります。
大切なヘラクレスに快適な環境を提供するためにも、転倒防止材はできるだけ用意するようにしましょう。
ゼリー
これはあえて説明するまでもないですね。
ただ、産卵セットを組む場合はメスに静かな環境を用意してあげるために1週間ほど放置することも少なくなありません。そのため、ゼリー1つでは足りなくなる可能性があるので、複数個入れておけるように数には余裕を持っておきましょう。
また、産卵時は特に栄養価の高いゼリーが必要となります。
以下の記事でヘラクレスオオカブトのメスの産卵時におすすめのゼリーをご紹介していますので参考にしてみてください。
ちなみに複数個ゼリーを入れることで、転倒防止材の役割も果たしてくれるので一石二鳥です。
ヘラクレスオオカブトの産卵セットの組み方
それではさっそくヘラクレスの産卵セットを組んでいきましょう!組み方は以下の手順になります。
- まずは交尾させる
- マットのガス抜きをする
- ガス抜きしたマットに加水する
- 加水したマットをケースに固詰めする
- 転倒防止剤やゼリーを入れて完了!
手順1:まずは交尾させる
成熟したオスとメスのヘラクレスが用意できましたら、さっそく交尾させていきましょう。
交尾させる方法は以下の2通りあります。
- ハンドペアリング(おすすめ)
- 同居させる
交尾方法1.ハンドペアリング(おすすめ)
ハンドペアリングというのは、人間の手でヘラクレスのオスをメスの背中に乗っけて交尾させるという方法です。決して手のひらの上(ハンド)で交尾させるわけではないので安心してください(笑)
この方法であれば、交尾が完了したかどうかを目視できますし、オスとメスを不必要に同居させて体力を消耗させることがないので、一番安全な交尾方法と言えます。
交尾方法2.同居させる
ハンドペアリングをしても上手くいかない(メスが嫌がったり、オスが生殖器を出さなかったりする場合)には、2~3日ほど飼育ケースの中でヘラクレスのオスとメスを同居させる方法も考えてみましょう。
基本的にはオスとメスを一緒にしておけば、本能に従って交尾をしてくれるはずです。交尾が完了したかどうかは目視ができれば一番いいのですが、そうでない場合はオスとメスが一緒にゼリーを食べていれば問題ないと考えてもよいでしょう。
手順2:マットのガス抜きをする
交尾後2~3日はメスの体内で有精卵を作る期間になるので、その間に産卵セットに使用するマットのガス抜きを行っていきましょう。
この作業を怠ると、産卵セットを組んでいる最中にマットが再発酵(発熱)して、卵や幼虫はもちろん、メスまで死んでしまう可能性があります。
以下にガス抜きの方法を解説した記事をご用意しましたので、やり方が不安な方は確認しておきましょう。
日手順3:ガス抜きしたマットに加水する
ガス抜き直後のマットは乾燥しています。乾燥したマットはパラパラの状態のため、固まりづらく、メスが卵を産むのに適した環境とは言えません。
かといって、加水をしすぎると卵が腐りやすくなってしまったり、底の方が水没してしまったりと、孵化率が大幅に下がってしまうので注意しましょう。
- マットを握ると塊ができる
- 出来た塊が簡単に崩れる
- マットを握っても水が染み出ない
上記の3つをすべて満たすような状態であればベストです。
手順4:加水したマットをケースに固詰めする
マットへの加水が完了したらさっそく飼育ケースに詰めていきましょう!
ケースの8割くらい(マット表面にゼリーやゼリー台を置いても蓋に接しない程度)まではマットを固詰めしていきます。(握りこぶしでやる場合は手袋を、そうでない場合はハンドプレス機を使用すると便利です。)
初めての産卵セットであれば、カチカチに固めてしまってもしっかり産んでくれます。
また、マット表面は柔らかく詰めた方がいいという意見もありますが、私個人的にはマット表面まで固詰めしてしまって問題ないと考えています。柔らかく詰めようが固く詰めようが、ヘラクレスのメスはしっかり潜ってくれるからです。
手順5:転倒防止剤やゼリーを入れて完了!
マットが詰め終わったら、いよいよ産卵セットも出来上がりです。
マット表面に転倒防止材になり得るウッドチップやゼリー台を複数入れて、エサとなるゼリーも複数(2~3個)入れておけばある程度放置しても大丈夫です。
- 頻繁にいじらないようにする
- ゼリーは絶やさないようにチェックする
- セット後は加水をしない(霧吹き等もしない)
採卵までは1週間~10日ほど放置しましょう。気になる気持ちもわかりますが、2~3日で採卵してまた産卵セットを組む、というのを繰り返すとメスに負担がかかってしまいます。
産卵に専念できる時間を十分に確保してあげることも爆産のためのコツです。
ヘラクレスオオカブトが爆産する産卵セットのポイント
最後に、ヘラクレスのメスに爆産してもらうためのポイントを3つご紹介します!
ポイントその1.完熟した微粒子の産卵マットを選ぶ
ヘラクレスのメスは完熟したマットを産卵床として好むそうです。
完熟しているマットは色が土色(黒)に近いため、見ればすぐにわかるかと思います。
また、完熟マットの中でもマットの粒が”微粒子”と謳っているものが好ましいです。粒が小さい方がマットが固まりやすく、メスが産卵しやすくなるからです。
ポイントその2.産卵マットを詰める固さを変える
マットは常に固く詰めればいいというわけではありません。1回目の産卵セットの場合はカチカチに固めてもよいですが、2回目3回目と産卵の回数を重ねるごとにマットを詰める固さは緩くしていく方がよいでしょう。
ヘラクレスオオカブトとはいえど、産卵回数を重ねるたびに体力は衰えていきます。弱ってきているタイミングでマットがカチカチに詰められていると、産卵により大きな体力を消費することになり、結果として卵の数が減ってしまう可能性があります。
1回目より2回目は緩めに詰める、2回目より3回目は緩めに詰めるというように、徐々に詰める固さを変えていくのが爆産のコツです。
ポイントその3.追い掛けする(2回目の交尾)
せっかく卵を産んでくれても、そのほとんどが孵化しない、無精卵ばかりを産むメスがいます。
このような場合には、最初に交尾した際にオスから取り入れた種が、しっかり定着していないことが考えられますので、もう一度交尾させてみましょう。これを”追い掛け”といいます。
一度、少しでもオスの種を取り入れたメスは、2回目の交尾を拒絶する傾向にありますが、メスの頭を押さえるなどして2回目の交尾をさせることは可能です。
せっかく100個の卵を産んでくれても、孵化するのが30個程度であればそれは爆産とは言えませんよね?しっかりと有精卵を爆産させるためにも追い掛けという選択肢があるということを覚えておきましょう。